アリとキリギリス続編

有名な「アリとキリギリス」の話は原典のイソップ寓話集では「アリとセミ」だった。何時どこでセミがキリギリスに変身したのか。

この変身は西欧に広がるイソップ寓話の集大成版として知られるドイツ語訳シュタインへーベル本ですでに見られる。セミの実物になじみの薄いドイツ語圏の読者のため、風土に合わせてキリギリスに改作したのが始まりらしい。

日本に入ってきたときの「伊曾保物語」などはセミのままだったが、明治の国語教科書には「アリとセミ」「アリとキリギリス」の2種がある。今日の日本ではほとんどがキリギリスだ。

この改変は世界的なものだが、日本版には別にもう一つ独自の改変があるという。「親切なアリはキリギリスに食べ物をわけてあげました」となるのだが、これは原典にはない。話に温情を加えて、原点の怠惰・浅慮への警告が薄められた。結末を改変したのはどうも日本だけらしい。(1/14/03 毎日新聞夕刊)



アリとキリギリス



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