ファティマの手



ファティマはマホメットの4女として生まれ、生涯を社会奉仕に尽力したという。慈悲深い彼女の手を幸福を呼ぶお守りとして、あるいは魔よけとしてマグレブ(日の沈む国)の国々では広く用いられている。あらゆる女性の装身具としてあるいは家屋の入り口のドアーノックとしても用いられているのである。

 世界中のいたるところで、邪の眼(凶眼/evil eyes) についてまた、それから自分自身を守る護符・チャーム・おまじない・不思議な力などについて、昔からいろいろな伝説・神話などが残っている。邪の眼(それににらまれると災難がふりかかるという迷信もある。)の力を信じている人々も多くいるようだ。日本でも’厄払い’という言葉もあるように。その一つが、5を意味するハムサ(カムサ:アラビア語)/ハメッシュ(古代ヘブライ語:イスラエルの公用語)と呼ばれたり、ハムサ・ハンド/ハメッシュ・ハンドとも呼ばれているものもあるようだ。どうやら、手指に関係があるようである。

 この5本の指をイスラーム教の五柱(Five Pillars)/ユダヤ教の五書(Torah)として後に意味づけてもいるようである。このハムサを、イスラーム教の預言者ムハンマド(モハメット)の娘の名前から、ファティマの手と言われている。また、ハメッシュを、ユダヤ教のモーゼとアーロンの妹の名前から、ミリアムの手とも言われている。(イスラーム教やユダヤ教よりも古くから邪の眼をさける古代中東(古代カルタゴ人)の女神の手による偶像崇拝の名残(偶像崇拝をしていた先祖への回想)ではないかと考えられている。宗教には関係ないという学者もいるそうです。)一般的に、このシンボルは邪の眼(他人からの嫉妬心)の災難から身を守り、健康・裕福・幸運・愛をもたらすものとして魔よけ・お守り・アクセサリー・ドアノブ・車など、他にも邪の眼が監視するであろうところに使われている。

 ファティマがHELVA(セモリナから作られるお菓子。ドライオートミールのようなものに砂糖とバターを入れる。)を作っていたときに、夫のアリが花嫁を連れて帰宅した。(イスラームでは4人まで結婚が許される。)うろたえた彼女は、悲しみのあまり手にもっていた木製のヘラが落ちたのもわからず、手で熱いHELVAをかき混ぜ続けていた。それを見た夫は、彼女のそばに駆け寄り大声で叫んだ。そこで、我に返った彼女は、手が焼け、痛みを感じた。このお話から根気をもたらすと信じられているそうです。

 話は続き、その花嫁と夫アリの結婚をファティマは、木造立ての2階の小さな部屋の穴から見ていました。彼女の涙が花嫁に寄り添っていた夫アリの肩に落ちました。それで、この結婚を見合わせたとのこと。保護・同情ももたらすと信じられているそうである。

  夫アリと2人の息子が聖戦(ジハード)に旅立つとき、ファティマは、両手にヘナをつけ、お別れのハグをした。彼女のヘナの手型を彼らの純白の着物につけた。それまで思わしくなかった争いが、息子らが参加したとたん、彼らや味方の兵士が傷つくことも、殺されることもなかった。明らかに、この幸運は息子らの着物につけたファティマの手型によるものであろうと思われた。幸運をもたらすと信じられているそうである。

 また、ファティマが祈ると、砂漠に雨が降ったとも言われていたそうで、自己犠牲をしていたイスラーム教の預言者であるムハンマドの娘ファティマは、災害・不幸・邪の眼を防ぐ力を備えた女性として、また、誠実で信心深い女性として、人々から愛され続けているようです。

ポルトガルでもファティマの巡礼として有名な所があるが、マグレブのファティマとは異なるようである。


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