ファティマの巡礼
ファティマは奇跡のあったとことして有名だ。バジリカ前の広場は実に大きい。5月や10月の13日の大祭にはここに30萬人以上の善男善女が集うという。毎年、5月13日には法王様もおいでになるらしい。まことにありがたいことだ。
大広場は前後にわかれており、周囲は林に囲まれ、木々の下ではテントをはったり、茣蓙を引いて休んでおられる。毎月13日がお祭りと言うが、訪れた8月は流石の真夏、広場が一杯と云うことはなかった。でも高速を降りて街中に入るには少し渋滞していたようだ。街に入る手前から、空き地という空き地には車が駐車しており、キャンプを張っているようだ。こうやってキャンプを張りながら13日を待っているという。ここはポルトガル唯一のカトリックの聖地だそうで、国内各所あるいはヨーロッパ各地からの巡礼者でいっぱいなのだ。
願い事のある巡礼者は、前の広場左側に引かれた専用の道を、膝まついて(膝にはサポーターをはめしっかりとガードしてござる)お参りする。右手に長い数珠(ロザリオ?)を持ち、左手は介添者に引かれながら、一歩一歩にじり寄って移動する。バジリカの手前の礼拝堂までくると、左手に長いローソクのようなものを持ち、広場の左隅の燭火台に献火し、且つ同様の姿勢でガラス張りの礼拝堂を何回となく徘徊してお参りすることになる。老若男女精いっぱいの苦行を重ね、奇跡の福に授かろうとお参りする。不具の身体をいとうてか、あるいは家族や自分自身の幸せを願ってお参りするようだが、優しいマリア様きっと願いをかなえて下さるに違いない。礼拝堂の中は願掛けの人で一杯だった。
奇跡の当人、羊飼いの3人娘の末っ子が現在修道女として92才で健在であるというのも面白い話だ。
8月酷暑で日中気温が40℃以上にも達する。紺碧の青空、遮るものはなにもない。汗をだらだら流しながら、それでなくてもたいぶへたばっているのに大変苦行だ。僕はチベットの五体倒地を思い浮かべていた。チベットの五体倒地は何年もの間、人生の大半の時間を費やし、苦行を重ねるようだ。カトリックとチベット仏教を比較するつもりは毛頭ない。いづれかわらぬ真摯な信仰者の姿なのだ。でも、ファティマはほんの数時間だけのお参り、時間の感覚が次元が全く異なる。様式は異なるが立派な聖堂・仏閣。カトリックと密教の根本的な思想、取り組む姿勢が異なるのもなんだか頷けるような気もする。9/1/00