箸と手


 旅に出て美味しい料理を頂くとき、箸を持ってあるいは、手掴みで食する。箸は日本の文化の原点であるが、箸を持つ微妙な指の感覚は外人(西欧人)にはなじめないようだ。自由自在に箸の先が広がらないし、小さいモノをつまみ上げ、移動することが困難を伴う。西洋人は特別不器用ではないが、幼少の頃よりなれ馴染んだ日本人とはまた異なるようだ。箸は直接手でもってする食事を少し上品にしているようだが、何が上品か意味不明なるも、少しカッコつけていることはたしかだ。箸の文化は中国、ベトナムでもみられるが、これら東南アジア諸国では割合長く、太い、始めから終わりまで同じ太さの箸を用いることがおおいようだ。なかには韓国のような金属製のもあったり、中国のように魚骨(象牙)製も見られる。手掴みより衛生的とも見られるが、実際はどうだろうか。割り箸のような環境資本を浪費するものは日本特有にも思われるようだ。ことに、料亭なんかの正目の通った杉の手作りのなんかは一種の芸術品で数回使用せねばもったいない。

 反対にインド文化の影響の強い地方ラオスなんかは手掴み作法が中心だ。生活の習慣は大切なもので、なれてくると指先でアジを関知し、触感で、美味しさを味わうことが出来るという。本来味覚であるべき味が、指先の皮膚を通じて理解しえるとは全く素晴らしいことである。食の原点は、やはり、目と共に手の感触がまず第一だろう。やはり、世界一歴史の深いインド文化はそれなりに素晴らしいものなのだ。何事も合理的なインド圏では、用便時の手と厳重に区別する習慣が大切で、両刀使いは歓迎されない。フィリッピンのカイマン方式ではいまだもって手掴み作法が残されている。

 欧米の植民地であった、カンボジアやその影響下にあったタイ(南部)はスプーンとフォークの生活習慣が発達しているという。街中の一寸したレストランでもスプーンとフォークは必携だ。田舎に行けば、まだまだインドの影響も見られるが、やはり植民地時代の影響が残されているようだ。チェンマイ等のタイはインドと隣り合わせ、タイの習慣と云うよりもインド文化圏である。

箸 中国・韓国・ベトナム・日本
スプーン・フォーク カンボジア・タイ
手掴み ラオス・東北タイ・インド・フィリッピン

ライスペーパー カンボジア・ベトナム・中国雲南

箸の置き方(場所)

 普通一般には食卓の手前に横向きに置くようだが、中国の一部地方では右側で縦に置くようだ。あるいはこちらの方が多いかも知れない。殆どの中国人はその理由を知らないが、どうも縁起をかつぐようで、横置きは不吉だと云っているようだ。(12/3/99)




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