酒とグルメ



酒とグルメ           

 昔から酒にまつわる話は沢山あります。会員の中にはアルコール学の専門家もおられるのに、私のような下戸のものがこのようなことに関してお話をすることは、まことに恐縮です。まあ,お酒といえばビール・日本酒・洋酒・ワイン等いろいろとあるわけですが、イスラム系以外の世界中のほとんどの国で愛用されているようです。勿論お酒をたしなむ人、たしなまない人いろいろいるわけですが、私のような、あまりいける口でない者が、お酒についてお話しするのは、おかしなことですが?

 昔から、お酒は百薬の長 といわれ賛美されてきました。良薬口に苦しと言われていますが、この百薬の長であるお酒は、左利きにとっては、なかなか魅力的なものです。また反対に、また気違い水といわれ嫌悪されてきました。一杯は人酒を飲み、二杯は酒酒を飲み、三杯は酒人を飲む、といわれこの状態にいたれば、いきつくところはもう明白です。江戸時代の有名な貝原益軒先生は著書「養生訓」の中で「酒は天の美禄である。少し飲めば陽気を補助し、血気をやわらげ、食気をめぐらし、愁いをとり去り、興をおこしてたいへん役にたつ。またたくさん飲むと酒ほど人を害するものはほかにない。ちょうど、水や火が人を助けると同時に、またよく人に災いをする。」とのべています。

フランスはワイン・フランス料理、イギリスはウイスキーとこれはたいへん有名ですが、皆様にとっては如何なものでしょうか?グルメ嗜好の方にはフランス料理、左党にとってはワイン・スコッチは耐えられないでしょう。しかし、この両国ではレストランではワインを、パブではビールを注文することになっています。レストランでビールを飲んだり、パブで高級なワインを注文するのは常識外のことなのです。フランス・イギリスではビールは労働者(ブルーカラー)の飲み物なので、紳士はこれに手をださないのです。でも風呂あがりの、すこし疲労感のある、口喝時のあの最初の一杯の、なにより最初の一口のビールの美味しさといったら、なんと表現したらよいのか、これはすでに広く認知済です。フランス・イギリスはレイシズムの国ですから、変なこだわりがあるのでしょう。

 昔から一献献上という言葉があります。一献とは一杯の杯といういみではなく、3杯の杯とサカナという意味だそうです。だから駆けつけ三杯というのは、三献有と申しまして九杯の杯を重ねることなのです。また一献にサカナが一種づつ付きますので,この場合三種類のサカナ、すなわち 1  アワビ  2 エビ 3  モチ  と言うことです。とくにアワビにはタウリンが多量に含まれており、コレステロールの低下に有用ですし、エビも高蛋白食で、餅は腹持ちがたいへんよいのはご存知のとおりです。これらのサカナをつまみにちびりちびり、ゆっくりやるのは悪酔いの防止にもなります。

 駆けつけ三杯なんてものは、現代の新入社員歓迎会や大学の新入部員歓迎コンパの一気飲みに準ずるようなものです。高知ではヤリケンという遊びがありますが、これも一種のイジメのようなものです。天狗の杯は置くことができません。

 食事中のマナーもいろいろ言われておりますが、西洋料理では、特に音をたてないことが原則と言われております。飲み物は音を立てないで飲む。クシャミはださないこと。傍若無人の立ち居振る舞いは勿論のこと、人前でのウガイは以ての外であります。しかし、これもあまりこだわりすぎると、たいへんなことになります。ごく普通の自然流が一番ではないでしょうか?

 カナダはシャトウ・レイク・ルイーズ、あのカナディアンロッキィーの、かの有名なルイーズ湖のほとりにある白亜のホテルでの話です。シャトウ・レイク・ルイーズのすばらしいダイニングルームでの晩餐会で、たまたま貴族の令夫人のような、品位のあるご婦人の丁度真正面に座らせていただき、フルコースのディナーをいただいたときのことです。宴もすすみメインの肉料理にはいって、しばらくしますと真っ正面のこのご婦人が突然倒れられました。あまりにも突然のことで、一瞬、テンカンの発作でも起こったのかと思いました。顔面蒼白、いや真っ白に変わっておりました。同じテーブルに居合わせた関係上、職業上の立場からでも、気道確保位はせねばと思い、顎を引き上げ、人口呼吸と心臓マッサージを試みてもあまり効果がありません。舌はすでに沈下し、失禁もしております。医療器具も何もない状況でしたので、素手で舌を引き上げようとして驚きました。咽頭に肉片がきっちりと挟まって、呼吸が出来ない状態なのです。このときはディナー用のナイフとフォークで、幸いにもこの異物を取り除くことが出来ましたが、音をたてないのも程々です。やはり、必要なときは咳払いもし、たとえ少しぐらい音をたてても、十分咀嚼するのがよいのではないでしょうか?

 最近ではグルメ嗜好もたいへんです。今年、訪れた香港では、かたまりのフカ鰭スープもいただきました。珍味中の珍味といわれるスズメの巣もたっぷりといただきました。でも究極のグルメは広東料理だそうです。広東料理では動くものすべてが素材の対象となるとのことですが、中でもネズミの胎児のオドリ食いが、グルメ中のグルメだそうです。このおどり食いは、中国で3叫(カ)と呼ばれています。胎児のネズミを箸でつまむとチュと鳴きます。次にタレに付けるとまたチュと鳴きます。最後に口中に入れて噛むと再びチュと鳴きます。都合3回チュと鳴くので、ネズミのオドリ食いのことを3叫というそうです。フィリッピンでも、孵化直前の鶏の胎児(バロット?)を食べる習慣があります。日本人的感覚からはなじみそうにありません。

 日本酒は一合でやく180キロカロリー、ウイスキーもダブルでほぼ同じぐらい、ビールは大瓶一本で240キロカロリーです。米飯お茶碗一杯150〜180キロカロリーで、高尿酸血症(痛風)もかんがえれば、おなかの出てきた会員の皆様も十二分にご理解をお願いいたします。結局お酒はほどほどにゆっくりとたしなみたいと思います。


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