サダルストリートとカオサン
手が伸びる。逞しく、あるいはソオッと、太いあるいは細くか弱く、何本も何本も。バクシーシ、バクシーシと着いたとたん、手厚い、精一杯の歓迎だ。インド人はしたたかだ。転んでもただではおきあがらない。一度渡した金から、釣りを貰おうなんて思ってはいけない。彼らは必死だ。死んでも離さない。家にはガキどもが腹を空かしてまっている。とうちゃんの今日の稼ぎだけが頼りなんだ。インド人はトイレで紙を使わない。左手でケツを拭くとか全くその通りだった。全て教えられている通りだ。手つかみでものを食べ、真っ黒い手ぬぐいで拭き取る。汗も垢も塵も全てを、これ一本で済ませてしまう。まことに合理的だ。カルカッタの街はクモの巣様で複雑怪奇、妖艶さが漂うている。でもさあ、頭痛を伴うこの暑さ、それにどうしようもないこの街の様子は、実際来てみて体験しないと絶対に理解しえないものだ。
タイの熟れきった果物
バンコクは熟れきった果物のような街だ。甘く美味しそうな香りを放っているが、口に含むとトロリと柔らくすぐにとろける。飲み込むにはかなりの勇気が必要だ。魅力的だが、ドップリとはまるのはちょっぴり恐い、そんな街なのだ。チャオプラヤは黄褐色、この濁流までバンコクのニホイが染み込んでいる。でもこの濁流、飛び込んでみれば意外とさっぱり、これではシャワーも必要ないわけだ。40度を越える暑さの中、道路は溢れる車で大渋滞となる。真っ黒な排気ガスが街中を覆い、スモッグで目もちかちかする。顔は煤で汚れ真っ黒け、それでも日が傾き出すと、少しだけ暑さも弱まり、生暖かい風に包まれた街は夕陽に照らされて黄金に染まる。勤め帰りの人や、これから遊びに行こうとする人達で賑わい始める。近代的なビルの立ち並ぶ街中を過ぎれば、さまざまな屋台の立ち並ぶ小道に必ず出くわす。コリアンダーとジャックフルーツのミックスしたタイの香りがする。やはり、これがバンコクなのだ。
ドイモイのヴェトナム
最近ではカルカッタとバンコクにドイモイのベトナム(ホーチミン)を加えなければアジアと言えなくなってきた。ドイモイ以降ホーチミンは妖しく輝いているようだ。