腕時計自慢
【1】 インドでの話。腕時計はスウォッチをはめていた。バンド(腕輪)にイルカのデザインがありプラスチック製ではあるがなかなかしゃれている。少なくとも自分ではそう思っている。スウォッチの中でもお気に入りのひとつだ。スウオッチに興味の無いものには判らないが、このスウォッチ
PacificBeach(SDN110)は、世界1000個の限定版で、swatcher 仲間ではなかなか人気があり、もしこれを新しく求めるとすればなにがしかのプレミアムを支払わなければならない。そのように貴重な逸品である。スウオッチは軽い、しかもこの手のものは200メートル防水とも言う(真偽のほどは判らないが、保証書にはきちんと記載されている)。旅にはもってこい、おまけにloomi(スウィッチボタンによって文字盤が光る)なので、夜中に時間を見るのに都合がよい。 今度も汽車の中で、お互い腕時計を見せ合う機会が訪れた。若いアンちゃん、俺の腕時計と交換しようという。なんのなんの、貴重なこの逸品、そんじゃそこらのものと交換してなるものか。おっきな損する。ごめんね。
【2】 ベトナムでの話。可愛いおもちゃのクオーツをはめていた。マーケットを見学中、またしても時計の交換を申し込まれた。このクオーツ、日本橋(大阪)で4個1000円で購入したものの一つである。プラスチックだが、なかなか可愛いいし、正確無比だ。相手の時計も正常に作動しているようで、手巻き式の機械式時計のようだ。何処のメーカーか知らないが、日本では今手巻き時計(機械式)がブームで、相場もかなりしっかりしているようだ。僕のは安物で釣り合いがとれないとお断りしたが、どうしても交換して欲しいと無理強いする。どうも豊かな国の日本人の持ち物は、みんな価値あるものと彼らは思いこんでいるようだ。ごめんね。人を騙すようなことようしないのだ。
【3】 バンコックからクアランプールのバスの中で、隣に座った背広姿のアンちゃんが言った。「いい時計をしているね」と。僕の腕時計はカシオのプロトレックで、必要いじょうに大きくて、でっかく、知らない人にはハッタリが効く。「格好いいだろう」とぼくは腕を伸ばして時計を見せる。アンちゃんも負けじと腕を差し出すと、そこに巻かれているのは、メーカーは判らないが古い自動巻きの腕時計で、それはそれでよいとして、時間がぼくのものより45分も進んでいる。「これ、45分早いよ」「45分、そうか、それならいい。この時計はいつも45分だけ進んでいるのだ。」また隣に座っていた男がおもしろがって腕を差し出すが、この男の時計も狂っている。不審に思ってたのでもう一人の男の時計を見ると、やっぱりこれも違っている。ひどい人の時計は、なんと8時間も狂っていた。そのことを注意しても、「時計が狂ってる。ああ、そうかね。」と笑うだけで、全然気にしている様子はない。腕時計なんて一種のアクセサリーなのかもしれない。タイの田舎は悠長な時を刻むいい国なのだった。
【4】 トルコでの話。またしても腕時計を見せろという。僕はローレックスのバッチモンをつけていた。腕を差し出すと、彼は突然大きな声で怒りだした。僕はパッチモンがばれたのかなと思ったが、そうではなく、なぜセイコーブランドをしていないのかと怒っていたのである。彼によるとセイコーは世界一だそうで、日本人がセイコーをしていないのは、けしからんというわけだ。もしセイコーを持っていたらUS100$でわけて欲しいという。セイコーならなんでも良いらしいが、特にAGSが羨望のまとらしい。インド、タイ、ベトナム、ミャンマーでもセイコーが一番人気があった。セイコーのAGSなんて、日本橋(大阪)では平行輸入で2000円ぐらいで売っていたよ。次からセイコーのAGSをはめてゆこう。安物のセイコーを数個持っていこう。そしてこれを売りコズカイ稼いで来よう。
念のため僕は精工舎から一円の宣伝料も貰っていない。