弥次喜多道中記


 リオを飛び立って、イグアスに向かった飛行機は順調に飛んでいるようだ。外は雨模様だが、激しい揺れもなく、この高度では少々の悪天候なんて、飛行には何等影響はなさそうだ。なぜか機内ではポルトガル語の案内ばかりで、英語、スペイン語の案内はないようだが、これらはなんら言葉の通じない我々にとって旅行に差し障りのあるものではなかった。機内の案内の度ごとにある、乗客のどよめきも、スチューワデスなんかが冗談でも言っている位に受けとめていた。やがて飛行機は無事着陸した。時間は午後10時過ぎ、1時間30分も遅れている。飛行機を降り、空港のビルに入るとパスポートコントロールがあるではないか。不審に思いながらも、乗客たちに流れに従って進むがどうも様子がおかしい。ここはイグアスでなく、隣国のアルゼンチンのブエノスアイレスであったのである。あとから想像するに機内放送はイグアス地方の山中は悪天候のため、やむを得ず、アルゼンチンに向かうといっていたようだった。飛行機会社の手配したホテルで約数時間の仮眠ののち、朝一番の便でイグアスに向かった。

 行程は帰路マイアミ、ロスからシアトル経由帰国となっていた。ロスを定刻離陸後約1時間機内で何か放送しておざる。英語の放送なのにチンプンカン何も解らない。どなた様よりも長く、何年英語を勉強してきたのか情けないったらありゃしない。飛行機は予定より30分以上も早く着いた。飛行機は着陸したのに降ろしてくれない。じっと待っているとドアが開き担架が持ち込まれてきた。急病人の発生だった。やれやれと思うのもつかのま、なんだか様子がおかしい。シアトルは初めての訪問なのに、当たりの景色に見覚えがある。なんていうことだ、飛行機は急病人の発生でロスに逆戻りしていたのだ。機中のどよめきはロスに引き返すアナウンスによってであったのである。アホな弥次喜多道中もお笑いだ。当然ながらシアトルの乗り継ぎ便には遅れ、ロス、シアトルを一往復半した上で、ロスの空港ヒルトンでとまった。


弥次喜多道中記(花の大江戸の巻)




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