中国建国50周年(中国の変化 6)


 1999年10月1日、中華人民共和国は建国50周年を迎えた。誠に喜ばしいかぎりだ。天安門広場では一日中、夜中まで祝賀のパレードや行事がもたれた。全てが官制には違いないが、経済の発展に伴い、人心も穏やかで誠に結構なことだ。人々の顔の相が違うようだ。人心穏やかにして国なるとは、まさしくこのことだった。故毛沢東氏も、あとを託した人々に感謝していることだろう。50年間、中国の5000年以上に及ぶ歴史からは、ほんの少しの短い期間かも知れないが、180度コペルニクス的転換を成し遂げた歴史は、その意義が大きく永遠に残されていくことだろう。

 朱首相は以下のように演説した。世紀の変わり目における新しい情勢のもとで、民族活動をより確実に進めていくことは各民族団結の強化、国家統一の擁護、社会安定の保持、中国の特色ある社会主義建設の推進という偉大な事業にとって、いずれも非常に重要な意義を持つものである。われわれは、江沢民総書記の重要な談話の精神を深く理解し、かつ真剣に貫徹することにより、民族団結・進歩の事業を大いに推進し、特に少数民族と民族地区の経済発展の加速をより重要な戦略的地位に置き、全国各民族の共通の発展、共通の繁栄、共通の進歩を積極的に促進しなければならない。(人民日報)

 NHKTVでは、中国共産党発祥の地、50年前の延安のフイルムを放映していた。毛沢東等の住んでいたヤオトン(山の斜面を利用して造られた、半地下式住居)が映し出されていた。貧しい時代の、当時の様相を見るにつけ、隔世の感がする。しかし、現在でも沿岸地区の発展に比べて内陸地区の旧態依然とした、市場経済から取り残された貧しい農村を見るにつけ、まだまだ貧困よりの脱出が取り残された課題であろう。

 建国50周年記念式典の軍事パレードは国威発揚とともに、中国人民解放軍の武器・装備技術の近代化革新を国内外にアピールする効果をもっていた。西側の先進水準に達する装備は限定されているというようなことではあるが、登場した兵器のほとんどが新式新型であったようだ。国際的地位向上を目指し、発言力を得ようとする中国にとって、国際世論がなんと云おうとしても、兵器・装備の開発、とくにロケット・核兵器の発展は今後も加速しそうである。軍事パレードのみならず、各種マスゲーム、花火等、自由民主時代を象徴する多彩な行事が国を挙げて行われたのは特徴的であった。

 共産党機関紙人民日報はロシアのエリツィン大統領が江主席に電話で、建国50周年と中露国交樹立50周年を祝ったと報じて中露の緊密な関係を示したし、軍の近代化のため中露の軍事面での協力関係は今後も拡大されそうだし、江主席は軍のハイテク化を繰り返し訴え、軍事力を背景に外交分野での交渉力を強める戦略にあるようだ。世界のポリスマンを自覚する米国の一極支配阻止のためにも、あてにならないロシアに変わるべく軍事拡張路線に変わりはないようだ。科学技術立国を推進する中国にとって、兵器・装備の開発、更新は国民にも理解しやすいだけに、近隣諸国の懸念をよそに装備のハイテク拡張化が進むとみられる。新中国の建国50年を貫くものは富国強兵だったし、戦前の屈辱的な半植民地状態から抜け出し、経済的に自立するだけでなく、強大な国家に脱皮することを目指してきた。それゆえ時代によって大きく政策が変わっても、経済発展と並列に国防建設だけは、経済を犠牲にしても一貫して続けられてきたのである。

 毛沢東の初期は自力更生が唱えられ、祖国の統一のためにもマルクスレーニンの精神主義が鼓舞され取り入れられてきた。登小平はさらに社会資本主義を取り入れ、改革・開放が進み、人々の自然の欲望を解き放った。しかし、底流に流れる国家理念はあいかわらず変わっていないはずだ。今日のスローガンは富国強兵大国主義であるし、日本が明治時代に国是としていた富国強兵に加え、大国化をも狙っていることと相通じるものがある。

 21世紀の中国は、貧富の格差拡大、失業問題、共産党の腐敗などいろいろの問題を抱えながらも、長期的には経済的にも発展することだろう。政府の問題解決能力は徐々にだが高まってもいる。解放国際化を進めることで、世界市場の発展の動力を取り込めるようにもなってきたが、問題は、経済環境が大きく変化したのに、社会制度や政治体制がいまだに前近代的なものも包含されており時代にそぐわないことだ。

 最近では、日中間も歴史認識もぎくしゃくしたものも残しながらも、上海新空港の開設、北京地下鉄の拡充と円借款も2兆円に迫る勢いだが、一般の国民は、どの事業が日本の援助でできたものか、ほとんど知らされていないのではないか。将来に渡って、近い近い両国もお互いに無関係では生きていかれない。わが国にとっても、アジア外交の基軸である日中関係をいかに成熟した間柄にするかが重要な緊急課題となっている。

 社会主義だから国有企業を維持しなければならないという建前が、中国経済の転換と発展の足かせになっている。これは中国は社会主義国を止めたわけではないので、いたしかたない。ただ、中国は社会主義の中身を現実に沿い、時には大胆に変えてきた。いずれは経済発展とその基盤を築くため、社会全体を近代化し、制度化させるという大きな改革に取り組まざるをえないだろうし、香港・マカオの返還、台湾問題の現実的な解決と、21世紀に向かって巨象動くと言った感もする。(10/1/99)


中国何でもアリ
中國の変化
 

(文中敬称略)


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