プラハのビール
中世から現代までの複雑構造の建築物が調和する、美しい古都プラハ。何回訪れても素晴らしい。町歩きにショッピング、コンサートやオペラ、人形劇の観賞と楽しみは尽きないが、到着したらまず行きたくてたまらなくなるところ、それはビアホールだ。今回陸路でオーストリアからチェスキークロムエフからチェスキーヴディョヴィッツエをとおりプラハに入った。ピルゼンは通らなかったがチェスキーヴディョヴィッツエ(ブッドヴァイザー)だけで十分だ。市役所前の広場では何かの催しが開かれており、市長さんの挨拶や本格的ボヘミヤンダンスが行われていた。タダのショウを見ながらの、ワイザーの一口も結構なものだ。
到着早々、ボヘミヤンショウを演ずるバーにいった。ルーマニア人の演じるコメディアンショウだ。勿論ビールはピルズナー。ロマ人も陽気だ。雨模様の夏のプラハにしては肌寒い(土地の人の言うには9〜10月の異常気象とか)。石畳に映えるネオンがもの悲しい。
チェコは世界に誇るビール大国で、国民ひとりあたりのビール消費量はなんと世界一だという。日本のビールの原型でもあるピルスナー(ピルゼンビール)は、19世紀半ば、チェコの地方都市プルゼニュ(プルゼン)で初めて造られた。中ジョッキが約150円位、ああ、たった10年前は約40円だったのに!)と、ミネラルウオーターよりも安いのだから、どんどん飲まずにはいられない。ヤンフス広場近くの大衆食堂(ビアホール)でピルズナーをいただいた。チェコの人々は酔ってハメを外すということはなく(騒いでいるのは、たいてい日本やドイツやイタリアからの団体観光客だ)、定番のヌードル入り(ほんの一つまみ)スープを啜りローストビーフをつつきながら熱心に静かに会話にふけっている。
ビアホールはそれぞれに個性的なので、ビールだけでなく雰囲気もじっくり味わいたい。
創業1499年、修道院を改装した「ウ・フレクー」で飲める特製黒ビールは、マイルドでかすかにスパイシーな味。現在では観光化されていて値段も少々高めだが、昔ながらの雰囲気はやはり一見の価値があった。
旧市街の中心にある「ウ・ズラテーホ・ティグラ」は、最高においしいピルスナー・ウルクェルが飲める店として有名だ。しかし狭い店内は毎日通ってくる常連のオヤジさんたちでいっぱいで、入口にはいつも満席という表示が出ている。
必ず行くお気に入りの店は、ブドヴァイザー・ブドヴァル(アメリカのブッドワイザーはこのビールから名前を取っている。だが味はまったくの別物)が飲める「ウ・メドヴィードクー」。料理の種類も多く、庶民的な味と雰囲気が楽しめる。夜になるとアコーディオンやヴァイオリンの生演奏も始まり、ますますゴキゲンな気分が高まっていく。
「ピヴォヴァルスキー・ドゥーム」は中心部から少し離れたところにあるブルワリーレストラン。店内にはピカピカ光る醸造タンクが鎮座してござる。コーヒーやチェリー、バナナなどの変わり種のビールがいろいろ揃っているのもおもしろい。
チェコ国内には50以上の醸造所があり、なかには見学ツアーを行っているところもあるが、ブッドヴァイザーの市役所前の広場で立ち飲みしたビールの味は忘れられない。地方の町を巡って地ビールを飲み歩くのもいい。ビール好きにはたまらない旅となることだろう。