アリとキリギリス


 イソップ物語は全世界の人々によってしたしく読まれています。が、その解釈は時代により、あるいは場所により、つまり背景によって随分と異なっているようです。今日はイソップ物語の「アリとキリギリス」の話をしてみたいと思います。アリさんは暑い盛りも、もくもくと一生懸命働きました。厳しい冬のため少しの蓄えもできました。キリギリスさんはすずしい夕方になるとバイオリンをひき毎夜まいよ舞踏会をたのしみ、あつい日中は昼寝ばかりしていました。昔昔の母やおばあちゃんからきいた話です。人間働かなければならないときは良く働くことが大切であり、怠けておってはその報いを受け、だめですよっという勧善懲悪思想の戒めをといたものだと思います。

1 ある英文学者によると、こうした勧善懲悪思想をといているのは日本の国だけだそうです。冬になって親切なアリさんは、キリギリスに食べ物を与えた、つまり時の強者が弱者にほどこしをしたのは日本だけだということです。かわいそうなキリギリスさんを社会的弱者であるアリさんが助けたということです。最近我が国に流行のきざしのある援助交際とは全然関係なく、紐付きでない純粋援助をしたということです。こんな美しい童話の世界もあったんですね。(日本・スペイン)

2 ところが世界中のほとんど全ての国(146カ国)では、奢者必衰の例えどおりアリさんは餓死したキリギリスさんを食べたということです。こちらのほうがリアリテイがあって、当代の子供達に受け入れられ易いようです。どうも最近ガキどもでも理屈をこねまわすようですから。

そのほかに、このイソップの物語の現代的解釈については

3 アリは働き過ぎで過労死した。いかにも現代的な解釈ですね。

4 キリギリスはアリに音楽会の切符を売りつけて、そのアルバイトの収入で冬を過ごした。

というような解釈も出来るようです。いずれにしても日本のように美しい話だけでなく、いろんな意味あいがあったのですね。


アリとキリギリス


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