回春剤(不老長寿法)


 朱熹のよく知られた詩に「少年老い易く、学成り難し。一寸の光陰軽んずべからず。」と言う言葉があります。光陰矢の如し。まさに、時の過ぎ去るの大変はやいものである。

人間この世に生を受けたからには、老いは避けられない。世の中諸行無常の響きありです。しかし老化の速度を遅らせ、回春をくりかえしながら、美しく 老いてゆくことは努力することによっては、可能である。ここで人生のいわゆるQ&Lが問われるのであります。しかし、人生とは儚いもの、人生とは死への旅路であるというのが現実なのです。

 明治の始め寿命は45才位と言われていました。最近の新聞あるいは厚生白書によりますと人生80才以上となっています。寿命は0才の平均余命ですから、現在まで生きてこられた貴方なら、恐らく90〜100才以上生きることが出来るはずです。現在の世界最高年齢者は、ギネスブックによりましても、110才代です。もしかりに最大限100才まで生きることが出来れば、36500日生きることが出来ますし、あと80年なら29200日、50年なら18253日と言うことになります。1万8千と言う数字が大きいか小さいかは、限られた、それだけをいかに充実したものに出来るかどうかに、かかっているのではないでしょうか?生まれたばかりの新生児も、60年たてば、60才の初老であり、老人の言動を笑い、さげすんでいる若者も、50年も経てば同じ同類なのだ。

 回春とは年が改まって、また春が巡ってくることであるが、また人が青春にたちかえり、若返ることをも意味する。昔から回春強精剤として、オットセイ・鹿・羊などの乾燥ペニス・ホーデン、イモリの黒焼き、ヘビ・スッポンの生き血・乾燥物、山椒魚・海鼠、あるいはミイラ(木乃伊)等が用いられてきました。現代ではドリンク剤(アミノ酸・蛋白質)、ウナギ・レバー、卵等が用いられています。よく見てみますとテストステロン含有物が多いようですが?

 漢方の地黄丸も回春強精剤として有名です。これはゴマノハグサ科カイケイジオウの根(乾燥剤)であり、ほかにアカヤジオウもあります。江戸時代の川柳に

  地黄丸 女房がほめる 薬なり

   地黄丸 飲むうち間男 できるなり

と言うようなものが見られますがおもしろいですね。そのほか山茱萸(サンシュユ)・山薬・茯苓(ぶくりょう)も効果的だと言うことです。有名な六味地黄丸・八味地黄丸は地黄を含んでおり、漢方の証、漢方生薬複合製剤の妙を得たものと思います。そのほか生薬として

イカリ草(淫羊蕾 インヨウカク)
クズ(葛) 葛根湯(麻黄等)
コンブ
ニンジン VAを含んでいる
ニンニク(大蒜 タイサン)
ヤマイモ

があります。昔から「精がが尽きたら、ぬるぬる、ねばねばしたものを食べよ」「根が尽きたら、根のあるものを食べよ」といわれてきました。はたして効果はいかがでしょうか?

 おじいさんはやまにシバ刈りに、おばあちゃんは川にセンダクにといった童話は、実は、これに裏話があったという。すなわちおじいちゃんは山にシバ刈りに、おばあちゃんは、川にセンダクに行かず、家でイモばかり食って、屁ばかりたれておった。ところがある日、山から帰ってきたおじいちゃんは筋肉粒々ハンサムな若者に変身していた。おばちゃんは吃驚しておじいちゃんに事情を聞いたら、山の向こうにきれいな泉があって、その水を1杯のんだら、このように若がえったという。おばあちゃんはあわてて、おじいちゃんに教えられた山向こうの泉をめざして急いでいった。ところがいつまでたっても、おばあちゃんが帰ってこないので、おじいちゃんは心配して探しにいった。泉のほとりでは、赤ちゃんになったおばあちゃんがオギャオギャと鳴いていたという。よくばりなおばあちゃんは水を何杯も何杯も飲んだのであった。

 食物は百味百薬である。偏食ではうまくいかない。害あっても益なしという。栄養価の低いゴボウ、コンニャク・ダイコン等もよいが、緑葉野菜が特によい。。

 結論として特別の回春薬・不老長寿の秘薬なんてあろうはずがない。健康を保ち、精力増強には、数多くの種類のものを、バランスよく、規則正しく、腹八分目、よく咀嚼するのが一番。仙薬金丹などは実在しない。


中高年オトコの医学






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