健忘症


 寿命が延び高齢者社会が確実に押し寄せてきた。わが国のように加速度的高齢化社会の到来は人類史上初めての経験であり、その対策に人類の英知が問いかけられている。

 昔から、物忘れは、身の老化を告げる天の警告といわれ、ボケの前兆ではないが、ボケ予防の対策を講ずる必要がある。昔は、ボケがはじまると、家督を嗣子にゆずり、公職も隠退して、世間さまに迷惑をかけぬように心掛けた。わが国の官僚、国会の先生方、大会社の社長連中は何事も知りません、存じません、忘れましたと急性健忘症に罹患しているが、これは直接老化とは関係ない。

 また昔から健忘症、記憶喪失は気狂いあるいは精神病の一部として分類されたり、また狐つきとも言われてきた。 正一位稲荷大明神は、この狐つき伝説と深い関係にあり、憑依伝説はむかしから町人の借金逃れ、保身、危機脱出の手だてとして利用されてきた。

 オスマシなんかによく利用されている茗荷という食物(香辛料)がある。むかし、お釈迦の弟子で周梨槃特と言う人がいた。かれはたいへん物忘れがひどく、自分の名前を忘れるほどであったという。しかし人柄が良く、非常な努力家で、悟道の域に達して、お釈迦様にたいへん可愛がられていたという。その彼がしんでだので、彼を尊敬していた村人達はお墓を作り弔った。その墓から香りのよい草が生えてきたので、彼の名を荷なって生えてきたので、人々はこの植物を茗荷(冥加)と呼ぶことにしたという。

 ぼけ封じには、昔からいろいろ言われてきたが、そんなに特効薬的なものはない。DHAなんか脳の細胞代謝に効果的だと言われているがもうひとつである。

 早寝早起き、規則正しい生活がまず第一番であり、睡眠を十分とり、活力を充足させることが大切である。意固地になったり、ひがみっぽくなったり、おこりぽくなったりしてきたら、黄信号いや赤信号であることを自覚せねばならない。趣味を持つこと、読書量を増やして文章を書く習慣をつけることも効果的だ。指先(神経の集中)の運動をさしたりすることも大切である。歩くこと、タバコはやめる、酒は適量、味は薄い目で旬の魚や野菜を十分にとると言うようなことは常識である。この常識に挑戦することがなかなか難しい。


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