ロンドン・パリの街頭トイレ


イギリス紳士たる者は、レディーと一緒の時は、常に女性を歩道の内側を歩かせる。つまり、男は道路の中央側を歩くのがマナーだが、これもトイレ事情から生まれた。というのもイギリスでは18世紀末まで、室内の便器で用を足し、その汚物を2階の窓から投げ捨てた。当時の家は、2階が歩道に突き出ていたので、歩道の内側は2階の床下になっていて汚物を直接浴びる心配がなかった。そのかわり歩道の外側はもろに汚物を被った。そこで紳士たる者は、汚物を浴びやすい歩道の外側を、レディーは安全な内側を歩くマナーが生まれた。危険な歩道側を歩く紳士の側も、勿論無防備ではない。それが外套の着用である。街を歩く人は、頭にバケツを被り、幅の広い長い外套を着用していた。イギリス人のシックな帽子と外套姿も、投げ捨てられる汚物から衣類を守るためだった。西洋人がひりだした糞尿が、いろいろのファションをもひりだしたのである。高いハイヒールの靴もその一つであると考えられる。ことに300年前のフランスの都市パリでも糞尿は街路に溢れ、どぶ川となって流れていたとのことである。雨でも降ろうものなら、泥濘となり、道を横断するためには、この糞尿の小川を飛ばねばならず、ロングドレスの貴婦人には不可能であった。そこでこのご婦人淑女を背負って渡す、渡し屋なるれっきとした職業があったと言われている。江戸時代の東海道大井川の渡し屋が華のパリにもあったのである。パリの方が先輩だった。

参考文献  トイレいろいろ
      哲学する小部屋(世界トイレ紀行)
      大徳(だいとこ)の野糞
      食物連鎖
      ベルサイユのトイレ
      中国のトイレは何故汚いか
      正しいトイレの使用方法(世界トイレ紀行 2)
      トイレ曼陀羅(世界トイレ紀行 3)
      トイレ雑感・変遷史(世界トイレ紀行 4)
      会社トイレの利用法
      トイレと束子
      棹を大切に 
      なぜ手を洗うのか?


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