正しいトイレの使用方法(如何に尻を拭くのか?) 哲学する小部屋(世界トイレ紀行 5)


【厠所の使用方法】
 東南アジアに行くと水洗便所でないことが多い。トイレの片隅に水桶が置かれ、それを如何様に使うかが問題である。いろんな意見が錯綜しているので、ここらあたりでレーゲルを決めておくのも必要かと思う。これはあくまで、レーゲルであって、個々色々のメトーデがあっても致し方ないことである。

【水桶の水】
 まず水桶の水の使用法である。これは原則尻を洗うためにある。勿論ため池に溜まったブツを流すために使用することもあれば、不幸にして汚してしまった付近をクリーンアップするために使用することも可とする。但しションベンだけで、この高貴な水を使用するヤマト撫子もいるらしいが、これは以ての外である。貴重な高貴な水をこんな目的で使用されてはかなわない。所変わればこの水槽の代わりに、水道から直接1メートル位のゴム管だけが付けられていることもある。水道のゴム管だけ付けられている時は、これでもって尻を洗い、ため池のブツを奈落のホールに追いやる(中東地区)。ゆめゆめションベンのあとさき、この貴重な命水を使うでない。東南アジアや一部ヨーロッパでは、水桶水槽の代わりにバケツが置かれていることがよくある。これはため池のブツを流すものだが、勿論これでもって尻を洗うもまた可なり。 旅の初心者は、できれば洗剤液の空のボトルを用意しておくと良い。ミネラルウオターのボトルでも良いが、この中に水を入れホースのごとく、づうーと、ほそくながく、ぶっ飛ばすと一番簡易である。ことが終われば例の不浄の左手の人差し指を少し屈曲させ、自動車のワイパーよろしく1〜2回左右に吹き払い、お尻の水滴は、オハジキよろしく数回ぴーんぴーんと弾いておく。東南アジアは暑い。少々の濡れた肌着なんで数分の内に乾燥してくれる。ついでに左指も一緒に洗浄しておく。

【手杓子】
 水桶には原則、杓子が付属する。この杓子で水を酌んで尻を洗うわけであるが、杓子でなくプラスチック製のコップか、ピッチャーのようなものである場合もある。このコップには通常取っ手が付いている場合が多く、大きさもマグカップ位のもんである。水量にして約3〜400ml位(満杯で)入る。この取手には茶色の泥のようなものが付いていることがあるので、良く観察してから手に取るようにするとよい。水桶の水も、ただ溜められているものから、その水桶の上に水道の蛇口の付いているものまで千差万別である。もちろん水道様の蛇口のある場合は、それを直接利用する方がベターであるが、ほとんど断水しているので、使用できないことばかりである。しかし部屋の外に出て、どこかで詰まっているのかしらと、探検に出てはいけない。もし水源を見つければ、水道は言うに及ばず、水桶の水の使用までためらわずにはいられない。トイレの外の水のタンクに中には、ネズミとか動物の屍骸など浮かんでいることが多いのだ。なんでも見てやろう式冒険心とか、へんな好奇心とかはアジアほっつき歩き経験、少なくとも数カ月位経ってからにした方が無難のようだ。手杓のおかれていないときは、直接、不潔な左手に水を溜め使用することになるがこれは高等技術に属するので後述する。

【尻の洗い方、拭き方】
 手杓には水を満杯入れてはならない。半分以下か三分の一位の方がよい。それの方が自由自在に角度の調整、放出する方向が定まりやすい。左手はアヌスを洗うために用い、右手の役目はコップを持ち水をぶっかけるためにある。この両手の使用方法を誤ると隣の現地の可愛い子チャンが逃げ出すかも知れない。まず最初にいわゆる不浄の左手を、後方(背中側)からアヌスの下、後方に位置を定め、この左手を目標に、右手に持った手杓の水をぶっかける。この時不浄の左手の手掌は前方(左手でお尻を障れる様な状態)に向いていなければならないし、当然ながら指先は下方に向かう。右足をやや前のめりに、左足を少し爪先上がりにすると自然に格好が付いてくる。左手を前から持っていくこともできるが、手掌が上向きになり、指全体が濡れることになるし、使用する水量が多いに異なる。前方挿入方式(両股間より左手を入れる)は左手の指背、アヌス、手掌とこの順番で水が懸かるので、水の使用量が増すが、左手の後方挿入方式に比べ初心者向きであることには違いない。手杓の右手は後ろ伝わせ方式とか、いろいろとバリエーションもあるが、一般的には前方からのぶっかけ方式が普通である。どうしても目標に命中しないときは、ピッチャーの水を股間まで持ってきて、そこから不浄の左指を、直接このピッチャーにいれて跳ばすことになるが、これはあまり推賞できない。また達人中の達人ともなれば、このピッチャーのようなコップと歯磨き・うがい用のコップを兼用しているが、これもお勧めではない。勿論、いわゆる洋式トイレなるもののときは、左手後方挿入方式は不可能であるが、実際問題として洋式トイレで手杓洗浄方式はいままで経験したことないし、こんなスチュエーションは存在しないのではないだろうか(故障は別問題)。水は一度に懸けるのではなく、水道の水が途切れることなく少しづつ連続的に流れるように懸けなければならない。この水の流れている間に、左の指先(指腹)でコチョコチョとアヌスとその回りを洗い流すのである。水のかけ方が下から上向きなので、なかなかコツが必要だ。男の子の場合はペニスとホーデンが邪魔になるし、女子の場合は洗うことによって、かえって不潔になり易い。このコツとタイミング、左手の指先の微妙な運動の感覚を会得すればもうアジアバックパッカーと自負してさし障りない。達人にでもなれば、ほんの左手の3本の指先(第一関節部)だけですべて用を達し、勿論手拭きなんてものは不必要で、2〜3回指を空中で振り払うとすぐ乾いてしまう。心して聞けよ。左手は神も嫌う不浄の手なるぞ。ゆめゆめ左手を使うなかれ(用便時以外)。それでは左利きの人は如何にするか?そんなこと私には解らない。神様にお聞き下さい。

【落とし紙の使い方】
 「落とし紙」なんて、なんだいとおっしゃる方もいらっしゃるが。普通こういう種のトイレ使用時はティッシュなんて使用しないのがエチケットだ。もし万が一使用することになっても「水と共に去りぬ」であってはならない。使用後のティッシュは備え付けのくずかごに入れなければならない。たとえ篭が満杯であったとしても、堆高く積み上げねばならない。拭いた後のティッシュは割合乾燥していることが多いので、その臭気たるやタマランものである。自分自身のものでありながら愕然とするものがある。ここは東南アジア、郷にいれば郷に従えで臥薪嘗胆である。
 紙を使わず水で洗った方が、綺麗さっぱり気持ちがよいと宣う自称旅の達人もいるが、これは私から言わせればまだまだ達人の域に達していない。用便後は尻糞(便の微少片)がそこらあたりに付着しているので、シャワーすれば気持ちよいのは明瞭で、達人にでも達すればこんな大げさな水の使用はしないものだ。達人の域に達したものでも、もちろん脱糞の壮快感は味わうことが出来るが、後先の清涼感は感じない。その前後全く変化のないのが達人と呼ばれる人達である。
 世の中変わった御人がおられ、水洗も紙も使用しないそうだ。彼のブツはバナナのごとき形状をしめし、その硬きことハンマーのようだという。事後は、そのままと言う次第である。
 不幸にしてティッシュを使用しなければならない状態の時は、前から股間に左手を挿入して後ろ向きに、摘むように拭き取る。これは必ず実行しなければならない。折角前方の股間から挿入した手でありながら、決して、後ろから前え向きに拭いてはならない。こんなことすれば巷にSTDが氾濫することになる。前方からの挿入方式ではぬぐい去る方向が、前後どちら側にも出来るので注意が要する。そのてん、後方挿入方式なら、前方から後方へののぬぐい去りが自然である。しかしいわゆる洋式便所の場合、後方挿入方式は困難を伴うが、たとえそれであっても、体位をすこしずらせば、後方挿入は可能であり、これの方が無難である。タクマラカンヤやサハラでは砂の利用もお勧めだ。砂漠の砂は粒子が大変細かく、均一であり、当然ながら乾燥しきっている。これはなれないと少し暑いが、経験してみれば意外といける。事後の清涼感も清潔感も十二分に味わえる。でも経験の少ない、慣れない女子の使用は厳禁である。念のために。


参考文献  哲学する小部屋(世界トイレ紀行)
      
大徳(だいとこ)の野糞
      食物連鎖
      ベルサイユのトイレ
      不潔なヨーロッパの街
      
中国のトイレは何故汚いか
      
トイレ雑観・変遷史
      
トイレ曼陀羅 

     
  


homeに戻る  旅行記に戻る  旅のエッセイ