ミラノの強盗
 ツアーの市内観光も終わり、市街の散歩に出ていた。官公庁街らしく、休日の黄昏時、人通りもまばらで、なんだか寂しく感ぜられる。丁度そのとき、車道から一台の乗用車がグーと寄ってきて、真横にブレーキをきしませて急停車した。助手席にも1人乗っていた。パトカーではないが、窓を開け、警察手帳(らしきもの)を提示しながら、かつピストルをかざして、こっちえこいと手招きする。われわれはなぜチェックを受けるのか、訳の判らないまま近づくと、ボディチェックのうえガンの所持していないことを確認してから、パスポートと財布を見せろと言う。ハッキリした英語だ。英語はこれだけ、あとはイタリア語何を言っているのかさっぱり判らない。なにも悪いことしてないがピストルを突きつけられていては、いささか身震いして彼らのなすままだ。どうも雰囲気より偽ドルを所持している疑いを持たれたようだ。ポリさん(私服)は財布よりドル紙幣だけを取りだし、一枚一枚確認するように、透かしてみて、すべてもとに戻してから財布を返した。これらの出来事は全て二人の目の前で行われた。次に家内の肩にぶら下がっているビデオに目をつけ、ポルノのTVでないかと難癖をつけてきた。ビルの向こう側にあるステイションまで同道して欲しいと宣う。ステイションまでビデオを預かるという。われわれはそれは困るというと、徐行しながら行くので後からついてきて欲しいという。ステイションも見えていることだし承諾すると、あっと言う間に、猛スピードで行ってしまった。ビデオを持ち逃げされたのだ。パスポートは無事だったが、魔術にかかったように財布の中のドル紙幣はすべて、跡形もなくなくなっていた。後から冷静に考えるまでもなく、始めからおかしなことだったが、何分にもピストルを突きつけられ(生まれて初めての経験)、気持ちも動転していたので仕方がないか。それにしても、ほんとに巧く数千ドルやられたが、怪我もなくまあよかった。(12/98)
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