バンコクの骨董屋 


 アンコール遺跡などからバンコク中継で世界に貴重な文化財が流出しているようだ。アンドレ・マルローの昔より、カンボジアのアンコール遺跡群やタイ・アユタヤの古代石造物が盗掘団の標的になり、バンコクを中継基地に世界中で売りさばかれているようだ。タイ捜査当局は盗掘団の摘発を続けているが、輸送ルートが複雑で密売組織の実態解明には当分時間がかかりそうだ。タイ政府は盗掘団に厳罰を適用できるよう法改正の検討を始めた。現在までのところ、シカゴの美術館より返還されて、かえって有名になったナーライ神のレリーフが盗難にあった経緯も解明されていないようだ。

 バンコクを流れるチャオプラヤー川沿いにある高層ビルは多数の古美術品をそろえ、外国人観光客向けのアンティーク・ショッピング街として知られている。ほとんどの店舗が、アンコール時代の古代石造物の一部を堂々と売っている。だが、入手先を聞くと、判を突いたように、店主からは「よく知らない。業者が持って来た」という同じ答えが返ってくる。

 そのビルにある10数店の古美術店が2カ月前、初めて家宅捜索を受けた。約100点の石造物を押収した警察当局は「ほとんどがカンボジアやタイ・アユタヤからの盗掘品とみられる」と発表した。同じ日、バンコクの港にシンガポールから入港し、係留中の貨物船からクメール王朝時代の石造物が計8トンも押収された。

 当局の調べで、盗品の輸送ルートは陸路のほかに、カンボジア南西部の港町シアヌークビルから一旦シンガポールに貨物船で輸送し、バンコクに回送するという「迂回」ルートが判明した。

 陸路は検問が多いため、最近は海路がひんぱんに使われているという。当局は、輸送ルートを複雑にして捜査の網をかいくぐるのが目的とみている。バンコクに集められた盗品はさらに海路で世界中に密輸されているようだ。

 タイの専門家によると、国内には約1000の古美術店があり、半数がバンコクに集中している。愛好家や外国人観光客が何千ドルもする浮き彫りの石造壁画の一部などを買い求めているという。

 アンコール遺跡群の盗掘は、古くは内戦時代のカンボジアでポル・ポト派兵士が小遣い稼ぎで始めたものだ。最近は盗掘団の組織化が進んでいる。タイ国内では、古美術品の違法所持罪が懲役7年以下と比較的軽微であるため、関係当局は「一罰百戒」の意味を込めて罰則の強化を検討している。

 中国では、今まで香港経由で、漢代の銀彩緑釉の立派な陶器や貴重な文物が流れてきたことがあった。今では北京や上海で、これら1000年以上古い文物を、ほぼ合法的に手に入れることが出来るようだ。但しあくまでも善意の第3者の立場に立たねばならない。


砂漠の美術館敦煌(孔子鳥)
中国旅行の楽しみ
クメールの王
上海蔵宝楼

芸術骨董編


homeに戻る  随筆・評論に戻る  旅雑学