無粋な雰囲気




最近のワインブームは凄い勢いだ。以前からときどき、ほんのまれにワインをたしなんだ(飲んだ)ことがあったが、 ワインの味は殆ど理解できないじまいだ。白の方が口当たりも良いようで、白ワインを少し冷やして飲べば、 また格別である。僕のワインはこの程度のモンで、ホントに悲しい限りだ。でもワイン通に言わせれば白より 赤の方が美味しいらしく、奥が深いと宣う。

白ワインの中の酒石酸・りんご酸・コハク酸・酢酸・クエン酸・乳酸などの有機酸は、あきらかにpHを低い方に誘導する緩衝作用を有しており、酸度を高めて維持する。こんなわけで、食中毒の防止になるのは自明のことでもある。白が生カキに合っているのもこんなところが原因かも知れない。赤ワインには体内でアルカリ性物質になるカリウム・カルシウム、そしてミネラルがより多量に含まれ、これも体内をアルカリに維持する作用きわめて大なりと言わざるを得ない。ワインは単なるアルコール飲料ではなく、たくさんの天然成分が含まれており、かつ、医薬品としても使用されている。 ワインにはアルコールとさわやかな酸味で食欲を増進させたり、 消化を助ける働きがあり、また、酸性食品を中和し、 新陳代謝を盛んにする効果ももっているようだ。健康には良いことずくめで、今夜もかあちゃんの言い訳になりそうだ。

ワインとグルメ(マリアージュ)は切っても切れない関係にある。ワインはグルメにとってはなくてはならない存在だ。なんぼ立派なグルメであってもワインなしでは寂しい限りだ。ワインなしではグルメと言いがたいかもしれない。 食事の楽しみは美味しいワインと美味しい料理の調和したものから、初めて創り出されるに違いない。 フランス料理の美味しさは、美味しいワインによって醸し出される。この両者のハーモニーがなければならない。

ワインの杯をかたむけて、今宵も更けゆく秋の宵。美味しい料理のお相伴。料理だけでは寂しい。やはり両者は合縁奇縁。二つのハーモニーがなければどないもしょうない。いわゆるワインカラー。世にも不思議な色合い。赤でもない、むらさきでもない。透明な深みのある、なんとも表現しがたいグラデュエイション。これが30年以上の年輪かもしれない。

ワインは蘊蓄を傾けるものでは決してない。ただ、飲むが良し。大勢(おおぜい)、わいわいがやがや呑むがよい。ウイットの効いた議論は整然とおしとやかに。あくまでフランス風に。

でも雰囲気は、日本酒と異なるようだ。日本酒はただ1人、寂しく飲むも良し、侘びしく飲むもまた良し。飲んで議論するも又良し。飲むほどに、動く車輪は同じところに、留まることなし。
ワインは雰囲気がハイカラさんだ。じっと寂しく、飲む雰囲気ではない。いやまてよ、1人ソファーにまどろみながら、クラシック(シャンソン)を聴きながら、1人呑むワインもあるやも知れぬ。でもこちらは、哲学的な静寂な環境。会話を楽しむ、これ又良し。でも蘊蓄を傾けるは、次の番。

【雰囲気を壊すような話】ル・モンドの報道によれば、最近のフランスでのワイン消費量の減少に比べて、日本向け輸出が増加の一方だとのこと、かつ日本向けは高級ブランドの割合が高い。フランスにとっては大切な大切なお客さん。ところが、有名なボルドーでは混ぜものする業者もいるらしい。

ボルドー地方の有名ワイナリーの一つ「シャトー・ジスクール(GISCOURS)」では、原産地統制呼称(AOC)制度に基づいて指定を受けた「マルゴー(MARGAUX)」ワインの製造販売を行ってきた。高級ワインの代名詞となっているAOCの呼称が認められる条件としては、

1生産地域(その産地のブドウ100%であること)
2ブドウの品種
3最低アルコール度数
4ブドウの最大収穫量
5ブドウの栽培法・剪定法
6醸造法、などが細かく定められている。

ル・モンドの報道によると、オランダ人が社長となっている同シャトーでは、このルールに反して、

1製造工程で牛乳、酸化剤、水などを混入した
2近接する産地である「オー・メドック(HAUT-MEDOC)」産のワインを混ぜて「マルゴー」として販売した。

とされている(6月2日付ル・モンド紙)。

ワインブームを背景としてボルドーなどの産地では価格が急騰しているが、フランス人の例の偏見に満ちたやりかたでオランダ(外人)たたきが行われているようで、やはりものにはリーズナブルと思われる常識価格があるはずだが、日本人はどうも高いものに飛びつく習性を有しており、これがまんまとフランスの狡賢な罠にはまってしまったようだ。フランスは狡いやっちゃ、端から判っていたことだが。


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