無粋な雰囲気
ワインの杯をかたむけて、今宵も更けゆく秋の宵。美味しい料理のお相伴。料理だけでは寂しい。やはり両者は合縁奇縁。二つのハーモニーがなければどないもしょうない。いわゆるワインカラー。世にも不思議な色合い。赤でもない、むらさきでもない。透明な深みのある、なんとも表現しがたいグラデュエイション。これが30年以上の年輪かもしれない。
ワインは蘊蓄を傾けるものでは決してない。ただ、飲むが良し。大勢(おおぜい)、わいわいがやがや呑むがよい。ウイットの効いた議論は整然とおしとやかに。あくまでフランス風に。
でも雰囲気は、日本酒と異なるようだ。日本酒はただ1人、寂しく飲むも良し、侘びしく飲むもまた良し。飲んで議論するも又良し。飲むほどに、動く車輪は同じところに、留まることなし。
ワインは雰囲気がハイカラさんだ。じっと寂しく、飲む雰囲気ではない。いやまてよ、1人ソファーにまどろみながら、クラシック(シャンソン)を聴きながら、1人呑むワインもあるやも知れぬ。でもこちらは、哲学的な静寂な環境。会話を楽しむ、これ又良し。でも蘊蓄を傾けるは、次の番。
【雰囲気を壊すような話】ル・モンドの報道によれば、最近のフランスでのワイン消費量の減少に比べて、日本向け輸出が増加の一方だとのこと、かつ日本向けは高級ブランドの割合が高い。フランスにとっては大切な大切なお客さん。ところが、有名なボルドーでは混ぜものする業者もいるらしい。
ボルドー地方の有名ワイナリーの一つ「シャトー・ジスクール(GISCOURS)」では、原産地統制呼称(AOC)制度に基づいて指定を受けた「マルゴー(MARGAUX)」ワインの製造販売を行ってきた。高級ワインの代名詞となっているAOCの呼称が認められる条件としては、
1生産地域(その産地のブドウ100%であること)
2ブドウの品種
3最低アルコール度数
4ブドウの最大収穫量
5ブドウの栽培法・剪定法
6醸造法、などが細かく定められている。
ル・モンドの報道によると、オランダ人が社長となっている同シャトーでは、このルールに反して、
1製造工程で牛乳、酸化剤、水などを混入した
2近接する産地である「オー・メドック(HAUT-MEDOC)」産のワインを混ぜて「マルゴー」として販売した。
とされている(6月2日付ル・モンド紙)。
ワインブームを背景としてボルドーなどの産地では価格が急騰しているが、フランス人の例の偏見に満ちたやりかたでオランダ(外人)たたきが行われているようで、やはりものにはリーズナブルと思われる常識価格があるはずだが、日本人はどうも高いものに飛びつく習性を有しており、これがまんまとフランスの狡賢な罠にはまってしまったようだ。フランスは狡いやっちゃ、端から判っていたことだが。