遺伝子組み替え食品


 パンドラの箱を開けようとする科学者がいるようだ。開けてはならないものを、開けては必ず何処かに歪みが起こって来るに違いない。昔、浦島太郎さんが乙姫さんよりいただいた、玉手箱を開けたばかりに、世の中急進展してしまった。パンドラの箱には何が入っているか解らない。解らないからこそ、パンドラの箱であり、開けてはならないのだ。でも、科学者の好奇心も根強い。ジキルとハイドの科学者がいつ出現するとも判らない。

 最近、遺伝子組み替え食品がやたら課題になっている。遺伝子組み替え食品(GM)は安全なモノとして、厚生省あるいは農林省から認定を受けたのにも関わらず、随分と議論が蒸し返されているようだ。厚生省なり農林省も学問的立場のみでなく、いろいろと政治的事情もあるようである。

 GM食品てそんなに安全なのだろうか。厚生省が安全だとしている五GM作物、大豆・トウモロコシ・ジャガイモ・ナタネ・綿実はまったく安心していいのだろうか。人間様の食料ばかりでなく、家畜の飼料としても輸入され、それから穫られる肉・牛乳・卵など全く安全と言い切れるのだろうか。巷の噂では、国産品は大丈夫と言われているが、果たしてそうだろうか。最近のような情報化社会では、虫の付かない、甘いトウモロコシの種がアメリカから直接輸入できる。素人だってもうとっくの昔からこれらGMと思われる種類を輸入して使用している。雑誌、インターネットで盛んに広告されている。恐らくGMであるに違いない。国産品であるかといって安心は出来ないのが実状ではないだろうか。

 2000年4月より、食品の製法技術を記載添付をしなければならないように、食品衛生法が変わるらしい。遺伝子操作を加えた食品は、それを表示する義務が生じるということだ。何でも正直に記載することは、最低限の生産者の義務だ。正しい情報を得て、それを選択するかどうかは消費者の問題である。

 医薬品なんかでは遺伝子組み替え技法によるものが、なんぼでもある。インスリン、成長ホルモン、抗血小板剤と数え上げればきりがない。でも医薬品と食品では根本的に全く異質のものだ。ことに米国ではバイオ技術を農業に利用する動きが活発で、害虫や農薬に強くなる遺伝子を組み込んだ作物が次々に開発され、大豆とトウモロコシでは既に作付面積の数十%以上が遺伝子組み換え品だという。

 遺伝子組み換え食品に表示義務を課すと言っても、対象は加工度の低いもの約30食品に限られ、食用油やビール豆腐等はたとえ遺伝子組み換え品を使っていても、表示義務はないようだ。消費者は知らないままに遺伝子組み替え食品を食べさせられているようだ。「有機」「無農薬」「国産」の表示だけでGM製品でないと誰が保証してくれるだろうか。

 地球上の人口60億人をこえ、食料の増産が必至の情勢になり、今後も増産一点張りになることだが、消毒薬や肥料の使用で環境を破壊していったことを思い浮かべたい。コウノトリは絶滅した。食料危機を回避し、高度な品質の食品を得るためにも、DNAを操作した遺伝子組み替え技術が必要かも知れない。しかし過去の過ちを2度と繰り返してはいけない。確かに、遺伝子操作により品質のより高い、より大量に、より保存しやすい今までの手法でなし得なかった食品の生産が可能になった。しかし、その普及についてはことを急ぎすぎてはならない。まだまだ消費者は、その安全性に不安を感じている。商品表示だけでは、なにを食べさせられているか解らない、盲目の暗闇の中に我々は生きているのである。

大論争(味の素)
食品添加物



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