中国茶(茶外茶)
中国のお茶はウーロン茶にしろ、ジャスミン茶にしろ大変香りがきつく、馴染まなければあまり美味しいとはいいがたいようだ。でも、慣れてくれば緑茶にない独特の味わいがあり、ほんとに美味しい。最近中国は東北(満州)の旅行中,大連のスイスホテルの地下(旧ダイエーのマイカル・スーパー)のお茶屋さんで初めて一葉茶(苦丁茶)なるものを味わった。少し大きめの湯飲み茶碗に、1〜2本の一葉茶を入れ、これも熱いぎみのお湯を注ぐと、少し時間を置いてお湯が少し青(黄)く染まってくると飲み頃である。香りは少ないがほろ苦さが特徴である。ことに、後口の苦さが堪らない。口中に広がるようだ。この1〜2本の一葉茶で熱湯を注げば数回(4〜5回)も飲むことが出来るようだ。もともと、南の産(ブラジル原産マティチャ?)であるらしいが、大変苦く、二日酔いで少々もたれ気味の胃腸の調子に甚だ良いようだ。翌朝には、疲れも吹っ飛ぶようだ。ことに脹脛のダルさが、きれいさっぱり、どこかへいっちゃった。自己経験ですこし、紹介してみたい。
爪楊枝位の枝の先に木の葉が3〜4枚ぐらい付き、うまく縒られて、それこそ爪楊枝の長さ、太さ、大きさである(決して一枚の葉から出来ているわけではない)。大き目の湯飲み茶碗に1〜2本ほど入れて、しばらく待ってから飲む。香りも良いが、大変苦い。それがまた美味しい。「苦丁茶」(KUDIN
TEA クーディンチャ)は、緑茶・青茶・紅茶などのお茶と違って、「茶の樹」(カメリア・シネンシス)から作られるお茶ではない。「苦丁茶」の原料は、冬青科苦丁茶冬青植物の一種でモチノキ科(大葉モチの一種 Ilex kudin gcha Tseng)の植物葉から作られる。「茶の樹」(カメリア・シネンシス)から作られた狭義のお茶ではないけど、お茶のように煎じて飲むという飲料を「茶外茶」ということがあるが、この「苦丁茶」も、まさしくその茶外茶の1つである。現在、一般的に市場に出回っている苦丁茶(クーデン茶)の多くは、別名富丁茶(フテイ茶)とも呼ばれたり、また大きな一枚の葉をねじって、楊枝や縄のようにしたその形状によって「一葉茶」とも呼ばれている。
「苦丁茶」は、その名のとおり、強い苦味が特徴のお茶で、昔から、良薬口に苦し(陀羅尼助・熊の胆)というように、胃腸の調子を整えるに都合が良いかも知れない。通常は、何日間か飲むうちに、苦味には慣れてきて、そのうち、苦味の奥にあるほんのりとした甘さすら感じられるようになるのかもしれない。最初のうちは、茶葉の量と蒸らし時間で苦味を調節して飲むと良いかもしれない。また苦丁茶は、黒茶・青茶に少量ブレンドして飲むこともお勧めで、茶葉に苦丁茶を半分から1本程度加えると、お味が生き返ったように違った別の風味を味わえる。
モチノキ科といえば我が国ではヒメモチ、シイモチ、ツルツゲ、ナナメノキなどがあるが、わが国では、モチノキ科の植物からお茶が作られることはない。南米ブラジルのマテ茶の葉から作られるのが原産という説もある(奥津均さん)。しかし、中国では、実は2000年も前からこのお茶は知られていたのだそうだ。
1、苦丁茶の歴史
「苦丁茶」は、中国では、古くは東漢の時代からあるといわれており、清代まで宮廷に献上されていたという歴史がある。現在でも、広東省(苦丁茶は広東省の銘茶)・福建省・雲南省・雲南省・貴州省・海南島など広い地域で生産されており、海南省の五指山区にある樹齢1000年の野生の苦丁の古樹から採取された枝を挿し木して繁殖させたものから作られたものが有名である。1997年には中国茶葉博覧会で金奨を受賞もしている。「苦丁茶」という名前のほかにも、「富丁茶」「野生一葉茶」「一叶茶」「一叶苦茶」など多くの名前で呼ばれているようだ。当初からこのお茶は「苦丁茶」という名前ではなく、いくつか時代によって名前が変遷している。古代には「紫笋」、「過羅」、「瓜蘆」などと呼ばれていたそうで、東晋〜斉の時代に書かれたという「桐君録」には「また南方に瓜蘆という木があって、茗に似て大変渋くこれを飲むと夜通し眠らなくなる。これは塩を作る人がよく飲む。」という記載が見られる。その後は、元、明、清の三王朝に献上茶として貢がれたもので、「苦登」、「富丁茶」などと呼ばれ、現在では「苦丁茶」として一般に知られている。さらに、「茶肝」という別名もあり、主に、このまま飲まれる他、烏龍茶(青茶)の味付け(「茶葉味精」)などに使われている。よく「一葉茶」とか、「一片茶」と呼ばれるものもこの苦丁茶の一種だそうだ。
苦丁茶という意味は、「苦」は貧しい、「丁」は人という意味だそうで、激しい肉体労働の疲労回復に用いられたようで、貧しい人たちが飲むお茶と名づけられたものだったのである。昼夜を問わずに付きっきりで作業をしなければならない、塩作りなどの重労働にかかわる人たちもよく飲んだようで、南方に瓜蘆という木があって、茗に似て大変渋く、これを飲むと夜通し眠らなくなるという記述が見える書物も残されている。眠気覚ましのお茶は多分にその茶の成分、カフェインが影響しているようだが、ちなみに、眠らなくなる、目が冴えるといっても、苦丁茶はノンカフェインだ。眠らずに頑張れるほどスタミナがつくといったところでしょうか、あるいは疲労の回復にとっても良いということだろう。さて、昨今の苦丁茶は、大きな葉を一枚ずつヨリヨリと捻って作る形状茶としてだけではなく、芽吹いたばかりの小さな新芽だけを摘んで製茶した、見た目も麗しく、ほろ苦い湯茶を飲んだ後口がほのかに甘い高級茶「青山緑水」として、華僑のようにお金持ちのセレブな方たちが飲むお茶に変貌してきているようだ。茶葉は見た通り真っ黒で、とても苦く、茶泡も海草のような臭いがする。この苦みが口の中で甘みに変わるようなものが高級なものなのだそうだが、残念ながらまだそのようなものにで出会ったことはない。茶葉の形態は、鳳凰単「木叢」に似ているが、中には、捻じれたものもある。
飲み方は、茶葉2つほどを200cc〜250ccの湯で2分程度。5〜6煎(少なくとも3〜4回は)楽しめる。普通の緑茶や鳥龍茶、紅茶を煎れて、その中にこの一葉茶を加えるのも、また風味が格段違ってなお宜しい。なお、最近ではさまざまな形状や大きさのものがあり、中には黒くなくて、とても綺麗なグリーンのほのかに後味が甘い苦丁茶も出回っている。茶湯色もさまざま、青から茶色まで色々あるようだ。これらがすべて同じ原料から出来ているのかは不明である。
2、効能
「青山緑水」や「苦丁茶」は、一応青茶に分類されるが、実は健康茶として分類してもよいくらいに、薬効の高いお茶と思われる。
ゴーヤやにがり、カテキンなどの苦み成分(タンニン)が身体に良いことは広く知られているが、「苦丁茶」としての「特級青山緑水」のほろ苦さもまたしかり、大きな特長としては、抗酸化力(過酸化防止力)の強いポリフェノールをたくさん含んでいるので、活性酸素を除去する効果が高いといえるように思われるがどうだろうか。クーデン茶ポリフェノールが細胞の老化を防止したり、中性脂肪やコレステロールを低減させるので、動脈硬化予防や脳卒中予防に効果があるとされている。また、最近の研究では、胃での遺伝子損傷(胃ガン)を強力に抑える作用があるということも判ってきたそうだ(?)。マウスにタバコの煙を強制的にすわせて肺と胃を観察する実験をしたところ、実験の直前にクーデン茶を飲ませたマウスは、飲ませなかったマウスと比べて胃ガンになる率が少なかったという報告はある。肺よりも胃でのガン抑制作用が顕著だったようだが、「クーデン茶ポリフェノール」による抗酸化作用によって、細胞の変異(ガン化)が抑制されたことが示唆されているようだ。
チャイハネに思うに、タバコの煙と胃ガンの関係は「喫煙や受動喫煙によるストレス」ならば「ストレスによる遺伝子損傷(発がん性)を回避」するのが目的であれば、チャイハネ的には朝・夕「杜仲茶」とリラックスタイム「青山緑水」というように、組み合わせて相乗効果を高めるのがオススメのようだが。実は「杜仲茶」に多く含まれるゲニポシド酸の効能は、ボケ防止、老化防止、ストレスの緩和、高脂血症、高血圧、コラーゲンの活性化、そして「喫煙や焼き焦げなどによる発がん性の軽減」と盛りだくさんあるし、また、エピガロカテキンガレードは、最強の殺菌力を持つといわれている。「タバコの受動喫煙にストレスを感じるタイプの方」は、ぜひコンビでどうぞ試してみる価値がありそうだ。
苦丁茶(青山緑水)は新芽のみのお茶であるが、一葉茶は成長した樹の先端一芯に3〜4葉を茶葉として使用している。名前の通り、飲んだ時、非常に苦く感じるお茶であるが、飲んだ後に、驚くほど甘く変わって行く不思議な爽かなお茶でもある。水色は緑がやや強く、少量を使用すると苦味の中にも甘みを感じ、甘い・苦いを判別し難いお味を楽しめる。一口口に含むと苦味を感じ、喉を過ぎると甘みが余韻として残る。特に3〜4煎飲まれた青茶葉(ことに鳥龍茶)に苦丁茶を半分から1本程度加えると、お味が生き返ったように違った風味を味わえる。薬効は喉に良く、ダイエット、便秘、高血圧症、アトピー予防、防癌予防、糖尿病、血圧降下、高脂血漿の総コレステロールを下げる働きがあるとされているが、お酒好きは、肝臓を丈夫にするなどといわれ、事実二日酔いには効果覿面、胃腸の調子を整えるようだ。下肢の脱力感等疲労の回復にも優れた効果を発揮するようだ。でも、本来学術書には薬効の報告例はみられないようだ(漢方専門薬剤師奥津均さん)。
大連で求めた一葉茶(7/5/04)がどうも人工着色料で着色されているようなので、今回改めて上海の叙友茶庄(准海路)などで、この苦丁茶を5種類ほど求めてきた(10/10/04)。やはり香りは今一だが、色合いは随分と違った。味も色々あるようだが共通して苦いことにはかわりない。人工着色料の使用が危惧されるようだが、特に習慣性は認められないようだ。2004/10/10
相変わらず懲りもせず、北京の王府井にある、天福茶荘で苦丁茶を購入してきた。このほかでも数箇所で同様の苦丁茶を買ってきた。ところが色々と調べてみたが、無色・透明というわけにはいかず、いずれも少し青系統の着色を見た。やはり何らかの着色料を使用しているらしい。でも相変わらず、常用している。友人の奥さんは、下肢の浮腫みが取れるようだというし、友人(医師)は小便が良く出るという。癌に効くとか、あるいは特定の病気に有用だというハッキリした学術書は見当たらないが、次郎は疲れを癒すものとして毎日飲んでいる。食べることの出来る一葉茶も売られている。味はかわりないが、薬効の程はどうだろうか。上記の奥津さんの話では、南米からの輸入品だということだが、雲南をはじめ中国各地で生産されているようだ。(10/10/05)
茶外茶の範疇に入るものに雪茶、虫糞茶等があるようだ。昨日の世界不思議発見でTV放映されていた。雪茶は高度4000m以上に自生するコケの一種で、あたかも真っ白な羊歯の如く形状をしたいた。これを採集し、乾燥さしてお茶にするというが疲労回復等いろんな薬効があるという。蛾の糞を集めて、これもお茶にするという。プーアール茶の如く真っ黒な色をしており、香ばしい香りがするという。薬効は、これも疲労回復あるいは強肝剤として滋養強精に用いられている。(雲南特集 3/5/2005)
桑寄生茶 茶樹に寄生する植物をお茶にする
甘橘茶
これは最近私が好んで飲んでいるお茶です。胃にすっきりとするお茶なので、食べ過ぎた場合の食後に良いお茶です。蜜柑と普[シ耳]と黒砂糖だけでも出来るので簡単。本当は普[シ耳]ではなく甘草(カンゾウの根)を入れると効果的なのですが、あくまでもデザートティーとして。
普[シ耳]はあまり濃く入れないようにします。予め薄く(ほんのりとピンク色になった程度)入れた普[シ耳]を用意し、そこに陳皮と好みに応じて黒砂糖を入れます。陳皮などは自分の家でも作れます。蜜柑の皮を良く天日で乾燥させて使いましょう。
薬膳茶の場合、こういうお茶だという定義は特にないようだ。基本的には漢方をベースにしたお茶だと 考えれば分かりやすいでしょう。ですから薬茶と呼ばれることが多いです。ここであえて薬膳茶と呼ぶのは、やはり薬ではなく、気軽に飲用できる茶をベースに考えたいからです。薬茶というと、特定の症状に対して対処療法として用いられるものとしての意味合いが強くなってしまう、つまりどうしても効能が先に立ってしまいますが、いかに茶を飲んでリラックスするかが大切なことだと思います。だから、そんなほっこりできる薬膳茶をいくつか紹介しましょう。ただしきをつけていただきたいのは、薬膳茶も薬茶と同じ効能を持つものが多く含まれています。薬茶は中国では薬と同じで処方してもらうものですから、あまりいいかげんな薬茶を作ると体に悪いという場合もあります。そのあたりを十分認識して薬膳茶を楽しんでくださいね。ハーブティーの感覚です
油茶 油茶という木から取れる油茶。
酥油茶は、西蔵のバター茶です。先日、西蔵へいったお茶仲間の大野さんが酥油茶(バター茶)の画像を送ってくれました。本場のバター茶は、とりわけおいしいというわけではなさそうですが、高山地帯では、やはりほっとできるとか。
中国語で「酥油」とは、牛乳或いは羊乳をかき混ぜながら煮立てた際、表面に固まって出来る油の層のことですが、乳を攪拌し続けてできるバターのことも指します。つまり、西蔵酥油茶とは、西蔵で作られるバター茶のことを指します。セブンイヤーズインチベットという映画の中で、ブラッド・ピット扮するハインリッヒ・ヘラーが、西蔵と別れる際に、友人にバター茶で送られる場面がありますが、「いつまで経ってもこのお茶は好きになれないなあ。」といっているとおり、かなり癖のある味のようです。
このお茶は、中国四川省で作られる金尖、雲南省で作られる普[シ耳]茶などの緊圧茶を煮出して、そこに岩塩、重曹、そしてヤクの乳で作られたバター「ギー」を加えて円筒形の打茶筒(ドンモ)に入れ攪拌したものです。好きになれない味の素は、この「ギー」にあるのです。日本のバターは、いわゆる不発酵バターですが、このギーは、ヨーロッパの一部で使われている発酵バターであると考えられています。ヤクの乳を搾り、沸騰させ、その後、ひたすら攪拌し続けるのですが、その後固形になったら羊の袋に入れて寝かせます。新鮮なまま使うには、運搬手段や保存技術が発達していないため、自然に発酵してしまったのだといわれています。このギーはかなり癖のある臭いで、気にならない人はまるで気にしないらしいのですが、馴染みの無い人には、やはり強烈に感じられるそうです。まあ、納豆みたいなものでしょうか。(^^;)
チベットへの茶の渡来については、李肇の『唐国史補』に781年に吐蕃への使者として赴任した常魯公という人物がテントで茶を煮ていると、吐蕃王が自分も茶をもっているといって中国の6つの地方(長江流域)の銘茶を示したというエピソードが記されています。茶経の出版時期と比べても、かなり早い時期にチベットに喫茶の習慣が伝わっていたことがわかります。この時のお茶は、歴史的に見て団茶・磚茶と見ていいでしょう。ただし、石毛直道は『食の文化地理』で「チベット人のあいだに茶が普及するのはサキャパ派のラマ経が元王朝と関係をもつようになった十三世紀以後のこと」としています。
さて、もう少し手軽にこのバター茶を作るには以下の通りのやり方がお勧めです。
この竹(木)の筒はチベットで売られているそうです。大きいのと小さいのがあって、それぞれ130元と40元だったそうです。それから西蔵のバター茶を入れる器は銅製の茶器なのですね。
それから蒙古の咸[女乃]茶もいわゆるバター茶ですが、こちらは鍋で沸騰させた湯に茯磚茶あるいは黒磚茶を砕いていれ、塩を加えて煮出した後、牛乳を加え、沸騰させて出来上がりだそうです。内蒙古と外蒙古では使う牛乳が違うとか。詳しくは知りません。新彊ウイグル地区でもこの茯磚茶を使ったミルクティーが飲まれているそうです。
どのお茶も、中国四川省、雲南省、湖南省などの固形茶が使われているようです。これらのお茶は、そのまま泡茶法(急須で出す)だとあまり出ませんが、バター茶のようにぐらぐら沸かした鍋に放り込んで煮出すとちゃんと味が出るようです。しかし、なかなか入手は難しいかもしれません。雲南省の沱茶とかだと味が違ってしまいそうですから。
**雪域西藏酥油茶**
「魚は水と離れられない、チベット人はお茶と離れられない。」千年あまりの飲茶史を持つチベット族は、飲茶について豊富な経験を蓄え、独特な飲茶の風俗と作法を形成してきた。25年に渡りチベットで生活し、そこで様々な民俗に触れてきた寥東凡氏が、青藏高原の飲茶にまつわる風俗を紹介してくれた。
チベット族の家庭を訪れると、必ず真っ白なハダ(マフラーのような薄い白布。相手を祝福するとき、言葉の代わりに相手の首にかける。寺院参拝の時は、仏像の首にかけたり膝にかけたりする)を首にかけてくれ、そして一杯のバター茶を奉げられる。
主人の勧める羊毛の座布団に座ると、主婦が極彩色の絵が描きこまれた食器棚から一番上等の磁器の茶碗を取り出し、きれいに磨いてから、あなたの前に置く。そして、ポットを軽くゆすってから、バター茶を注ぎ、両手で面前に奉げる。
お客がバター茶を飲んでいる間、主婦はポットを持ったまま、お客の傍らに恭しく控え、お客が一口飲む毎に注ぎ足す。ゆえに茶碗にはいつもお茶がなみなみと満たされ、冷めることもない。こうして始めて、主婦の責任を尽くしたといえるらしい。
お客の方は、急いで飲んだり、一気に飲み干してはならない。お茶の上に薄く出来る油の膜を口で吹きながら、少しずつ飲んで、半碗ほど残し、主婦に足してもらう。
お茶を飲むときは、音を立ててはならず、軽く啜るように飲むこと。音を立てるのは、教養の無い証拠と受け取られる。
また、一杯飲んですぐ席を立つのは失礼にあたり、三杯が縁起良しとされる。ラサの諺に「一杯で飲み逃げするは敵!」というのがある。
青藏高原に住むチベット人の飲むお茶の量には驚かされる。普段でも一日三十杯から四十杯のお茶を飲む。農民や重労働の従事者は、更に多く、更に濃いお茶を飲む。これは、お茶が高原で生きるための必需品だからだ。寒いときには身体を暖め、肉を食すときには油っこさを解消し、お腹が空いたときには、飢えを癒す。また、疲れを癒し、眠気を醒ます。茶葉にはビタミンが含まれ、高原の野菜が不足しがちな食生活から起こる問題を解消する。
チベットの人々が一日もお茶から離れて暮らすことが出来ないのには、更に深い理由がある。
チベット人が遠出をするとき、親戚友人は必ず純白のハダとバター茶を奉げて見送る。車や馬に乗った後、さらに三杯のお茶を勧める。これを飲み干して始めて道中に就くことが出来るのだ。
チベット人は、東方から伝わってきたお茶というものが、人に吉祥をもたらすものだと信じている。旅人の道中が順調であるよう加護する力を持つと信じているのだ。
チベットでは茶葉と塩は、吉祥歓楽のシンボルだ。チベット暦の新年やその他の祭日には、必ず神棚の前に数個のレンガ茶や沱茶が、そしてその上には必ず岩塩が供えられる。
また、チベットでは茶葉には塩はつきもので、若い男女の揺るぎのない愛情に例えられる。これにまつわる伝説や民謡を挙げたらきりがない。
バター茶の作り方は、以下の通り:
レンガ茶か沱茶を砕き、適量を鉄の鍋に入れ、水を注いで煮出す。
沸騰したら水を差し、何度か沸騰したら、少量の炭酸ソーダ(粉状)を撒き、茶の色を濃くする。
沸騰した茶液を濾してドンモに注ぎ、ギーと少量の塩を入れ、ドンモに付いている撹拌棒を数十回上げ下げしながら撹拌し、茶液と油が完全に溶け合うと、色・味・香揃ったバター茶になる。
裕福な家庭や、高貴な客人をもてなす時には、撹拌の際に胡桃や牛乳、卵、干し葡萄などを加え、薫り高くまろやかで上等のバター茶を作る。
バター茶のほか、チベット族は様々なお茶を飲む:
サラダオイルと共に撹拌したものはノンチャ(弄恰)
ミルクティーと共に撹拌したものはオチャ(俄恰)
羊や牛の骨のスープと撹拌したものはウチャ(宇恰)。
これらの茶はバター茶よりも格が低いとみなされているが、それぞれに独特の風味があって美味しい。
この他、只の茶の中に塩を加えただけの清茶、
清茶にギーを少量落としたパオマ(抛瑪)、
紅茶・牛乳・砂糖を煮て作るチャアモ(恰安莫)=甜茶、
ドンモに濃く出した茶液を注ぎ、水と混ぜただけのチャク(恰庫)、
ギー、麦焦がし、茶葉、塩を混ぜて糊状に煮詰めたチャチョン(恰城)=油茶羹
などがある。(注)恰の漢語の発音は「チャ」
茶のチベット伝来については、有名なチベット王ソンツァンカンポの父ランリソンツァンが内地から持ち帰ったとか、内地からソンツァンカンポに嫁いだ漢族の妃、文成公主が運んで来た、などの伝説が伝わっているが、いずれも根拠が足りない。チベット学者の研究によると、チベットの茶に関する最古の文献は、吐蕃王ソンマンポジェ(704−754)の時代の、内地の茶が薬として用いられたという記載である。西暦983年、内地とチベットの辺境貿易として、小額の茶葉が売り買いされていたという記録がある。遅くとも西暦11世紀前後には、チベット上層階級の僧侶、貴族、頭目などの間に飲茶が流行していたことが分かっている。( 《中国茶文化叢書・問俗》浙江撮影出版社(1996年9月第一版 編者 余悦)という本の訳)
擂茶 桃源郷のお茶
[女乃]茶 モンゴルのミルクチィ
紫金竹殻茶 黒茶に漢方薬を混ぜてボール状にしたもの
八宝茶は、いわゆるデザートティーとして知られています。北京、上海などの都心部では、食後にこのお茶が出されることが多いのだそうです。回教徒の飲むお茶として知られています。龍壷(口の細長い金属製の薬缶のような入れ物)を使って40センチほど離れたところから中身の入った蓋碗に湯を注いでくれますが、壷の注ぎ口と入れる人によっては、やけどに要注意なのだそうです。確か以前床かの雑誌で読んだ記事によると、この道何十年という職人技を披露してくれる40歳ぐらいの“茶博士”もいるそうです。北京や上海では、小さな袋に八宝茶の材料が入っている土産用のパッケージが売られています。ブームに煽られて「三泡台公司」までできているそうですが、お土産として定番のようですね。安いモノでは、一袋に一回分の八宝茶の中身が入ったのが一箱単位で売られているそうです。
このような都市では健康茶的なイメージが強い様ですが、もともとはこの茶は甘粛省や寧夏自治区の回族のおじいさん達が好むお茶として有名で、砂漠地帯の清涼茶だったそうです。で、この茶の「発祥地」はということですが、甘粛省蘭州とのこと。シルクロードの入り口拠点のようなところですね。たまたま本屋で立ち読みしてた本(シルクロードの旅行記 あの「青が散る」の作者、宮本輝氏の本)の1巻の後半に出て来る都市です。
八宝茶は、別名「三泡台」といわれています。三泡台は蓋碗茶のことで、八宝茶の元祖が蓋碗で飲むお茶だったところから、この名も使うようになったみたいです。蓋碗茶をなぜ三泡台というかというと、もともと蓋碗の構造が、「蓋」、「碗」そして茶托でワンセットになっていたことから、三つの砲台「三砲台」と呼ばれていましたが、それが「砲」という字の発音が茶を入れるという意味の「泡茶」の「泡」と同じであったことから、「三泡台」と呼ばれるようになったそうです。たまたま茶と桂圓(竜眼)と氷砂糖を入れた基本的な飲みものがあって、そこにいろんな物をくわえるようになった事から、八つの物が入っているお茶、で入っているものが宝。それで八宝茶となったそうです。八宝茶の八宝は八宝菜の「八宝」と同じ意味だそうです。八宝茶は、内容を指して呼んでいる呼び方、三泡台は、飲む容器を指して呼んでいる。とのこと。そして、八つのお宝の内容は、場所柄、入れる人の好み柄異なるのだそうです。
さて、この八宝茶ですが、基本的には茶、桂圓、氷砂糖を入れたお茶だったそうですが、今ではそこに種々のものを入れて出来上がっています。手元にある八宝茶や三泡台の中身を見てみると、
| ◆ 八宝茶 |
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| ◆ 三泡台 |
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内容にばらつきがあるのは、各製造工場の違いとか、作られる土地柄のちがいということでしょうか。なお、他にクルミが入っているものもあるようです。
この八宝茶に使われる緑茶は、通常甘粛省の緑茶をベースととしていることが多いようですが、中には、磚茶のように固められた固形茶を削って作る場合もあるようですし、紅茶をベースにしたものもあるようです。東京中国茶文化研究会副会長で中国茶に詳しい亀岡典子さんが教えてくれた話だと、八宝茶に入れる緑茶は、おいしいお茶だとだめなんだそうです。それこそ緑茶の沱茶でも使うと、おいしくないお茶のこく(^^;)が出ておいしいのだそうです。
一種、薬膳茶に通じるものがあって面白いお茶ですね。
お茶の話
お茶いろいろ
お茶のタイミングの話
ポリフェノール
お茶の儀式(結婚式)
お茶の儀式2(三道茶)
大紅包(武夷茶)
廈門紀行 武夷茶(巖茶) 大紅包