マリアージュ


 料理とワインが合うとか合わないということは、よく耳にすることであるが、かなりあいまいな表現で、主観的要素が入り込み、大変分かりにくく、普遍的なものではないようだ。科学的には赤の抗高脂血漿作用、白の殺菌作用ぐらいが妥当なところであるが、どんな料理にどんなワインが合うかということは、個人の個性の問題でもあるようだ。

 一般的には、魚には白(冷旨系)が、肉類には赤(温旨系)が良くマッチすると云われているが、それもあくまでも一般的な話であるようだ。その環境は勿論のこと、料理人の性格、調理環境、素材の選択、あるいはそれに要する時間の問題等が全てからみあって、料理が出来上がるように、飲食する側に立てば、その日のコンディションによっても随分と異なるようだ。

 たとえ肉類をいただくにしても、良く働き、少し疲れ目で喉の乾きを感じるときなんかは、冷旨系の白が合うようだ。喉元にグッグッとくる美味しいワインは赤よりも白の方が美味しいモノだ。また、たとえ魚料理であっても、彼女と2人、ムードのあるディナーでは、顔はカッカとしていても白よりむしろ赤の方が美味しいやも知れぬ。考え方によっては、料理にワインを合わせるのではなく、環境、雰囲気にワインを合わせた方が良いかも知れない。

 4〜5月の高知の初鰹には白が良く合う、最高にマッチするようだ。採れたての、ぴちぴちカツオは癖もなく、あっさりしており、白でも赤でも良く合うが、とりわけ白とピッタリである。でも7〜8月の油の乗り切った戻りカツオには白よりむしろ赤が良く合うようだ。

 鮎の塩焼きには、どんなワインが良く合うだろうか。小骨もろとも頭ぐち食する熱々の5月鮎の塩焼きは、フウフウと息をかけながらダテ酢で食べるのは最高によい。どちらでも合いそうだが、これは明らかに赤のようだ。赤がよさそうであるが、レモンを利かし、少し冷やせば白の出番である。同じモノでも、温度、調味料によっては、ワインも変わってきておかしいモノじゃない。でも15cmあるいは20cmにも及ぶでかい奴の塩焼きは赤に限るようだ。囲炉裏で竹串に刺したまま炙るあやつは赤に限る。

 天ぷらには割合白が合いそうだ。白でもシャンパンが最高に良いようで、口中の油を洗い流してくれるようだ。白身のあっさりした魚には勿論白がよいが、脂身の多いアナゴなんかは、香の少ない癖のない赤も良さそうだ。香りの強い新鮮な野菜類には、もちろん芳醇な白であるべきだ。

 でも、やはり、シャブリと生ガキは天性に相性がよい。科学的にもピッタリでこれ以上のモノは見当たらない。でも毎日毎日が生カキでも飽きが来るだろう。たまにはカキの土手焼きに赤も良いのではないか。

  東南アジアでもっともポピュラーなタム・マク(フン)、若いマンゴやパパヤ、パインを用いた一寸酸っぱい奴、小奴は意外と白辛に相性がよい。もともとフランスの植民地だった関係からかしら、食生活にワインが取り入れられているベトナムなんかでよくみられるようだ。日本の糠味噌沢庵、納豆でも同様なことが言えるようだ。でも、おみおつけ、赤だし、あるいは一番ありふれた麺類にはどんなワインが合うのだろうか。ラーメンにどんなワインが合うだろうか。これはやはり文化が異なるのかなあ。この点ビールは相手を選ばず、飲む方の体の調子次第であるようだ。少し疲れた、喉が乾き、暑いとき、体調の良いときなんかの、風呂上がりのグッと一杯には、勝る物なしである。

 マリアージュなんてきまりはないのだ。原則どうだっていいのだ。自分自身の状態によって大まか決まると考えた方がよいようだ。(上記は僕の偏見に満ちた独断である。これと異なる意見が立派なその筋の先生によって記された書籍が多数見られるようだ。)1/31/2000

【反発する】
互いの味を壊してしまう食べ合わせのこと。
【味を引き立てる】
一口めの料理の味を最後まで持続させ、口中の油を流し、料理の味を引き立
てる。
【バランスを取る】
甘さや、なめらかさと調和し、互いを引き立てる。
【マリアージュ】
第3の味を生ましむ、それぞれの個性が混ざり合い、第3の個性を作り出させる。


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