円環


 昔、台北駅の北側に円環という平屋の大きい建物があった。これ自体が大きなロータリーをなしており、ここから道路が星形に多方面に伸びていた。円環は大きい建物と言うよりも、小さな建物が塊り、ひっつきあって重なりたてられており、それが一つの円形の大きな建物となっていたのだ。真ん中の中心は広場になっており、外周は果物やなんかの店先で、内側は海鮮料理の屋台なんかひしめき合っていた。ありとあらゆる食い物の店が軒を連ね、ここで注文すれば、料理してくれ、店中あるいは、真ん中の広場の床机で食べることが出来た。カエル、ヘビ類、いわばゲテモノの宝庫でもあったわけである。まあ言えば、台湾観光の目玉の一つでもあった。ところが10年ほど前、観光客にはぼるし、大変評判が悪くなってきた頃、火事が起こり全焼してしまった。再興の話もあったようだが評判の悪さにくわえ、都市計画もあり、随分立派なロータリーとされてしまった。でもなくなってみると、昔懐かしい円環も思い出されてくる。


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