低用量経口避妊薬(OC)解禁される
ここで云うピルとは、本来の持つ錠剤という意味でなく経口避妊薬のことである。いわゆるピルは1960年、FDAによって承認されて以来、現在では全世界で1億人もの女性に使用されていると言われている。最も効果的で、信頼のおける避妊法の一つである。ただこういう類のクスリは健康な人が毎日服用するものであるから、特に副作用等にいささかの懸念もあってはならないものである。病気を癒すクスリと根本的に異なることは十二分に考えねばならない。いろいろの社会情勢の変化によって、日本でもこの低用量経口避妊薬が今日(9/2/99)から正式に発売されるようになったことは、喜ばしいことだ。でも、バイアグラの時とはだいぶ事情が異なるようで、新聞報道も日経のみ特集もあったが、他紙は特別の企画も見られず、爆発的な騒動は見られないようだ。
解禁されたと云っても、購入するには医師の処方箋が必要だし、かつ、健康保険が全く適用されない。クスリ代は勿論、診察料、検査料全て自費の扱いになる。一ヶ月間の薬代も3〜5000円位(朝日新聞報道)必要だと云うし、そのほか、診察料や検査料も重ねて請求されると云う。年間を通じて5〜6万円の負担になるやも知れない。また、診療所によっては価格差も出てくるかも知れない。若い階層では、興味もあることだが、STDの蔓延が懸念されるようだ。なかには、ピルはSTDの予防薬だと考えている大学生もいるとのことだ。
妊娠中は飲めないことは勿論、35歳以上でタバコを一日15本以上喫煙している方も、このOCを飲むことは出来ないし、思春期前の女性の服用も厳禁なことは云うまでもない。年齢も一応45才までだ。これ以上の年齢に達すると、色々危険ファクターが入り込んでくる。このほか肝臓の悪い人、高脂血漿のある方、エストロゲン依存性のガンや腫瘍(乳ガン・子宮癌・子宮筋腫等)の疑いのある方も禁忌だ。
副作用の心配もあるが、利用者が十分このクスリのこと(利点・悪点)を知り、使用すべきである。一部のアンケート調査によると、相当音痴的な無知者もいるようで、STDの流行等も懸念される。一方、服用者にとっても悪心、嘔吐や体重の増加も心配しなければならないし、血栓症、高血圧、心臓循環器系の病気の併発に注意が必要だ。45歳以上のご婦人は飲まない方が良さそうだし、服用者の排出するホルモン撹乱物質にも配慮しなければならない。
環境ホルモンとの関連では、普通の妊婦の妊娠後半期の総エストロゲンの排出量が1日40mg程度と言われており、妊娠していない婦人の尿中エストロゲンはたかだか70マイクログラムに過ぎないし、ピル服用者のそれは、むしろそれより低値だと云われている。こんなことから、いわゆる環境ホルモンとは無関係という主張もなされているが、しかし、合成剤と天然剤とは異なるし、一概に影響なしとも断言されないのではないか。排尿による水汚染の生態系への影響や、薬剤の服用による次世代への影響なしとは断言できないようだ。
OCの服用とSTDの予防とは、また別の次元の話である。OCの服用により、STDの蔓延する可能性が大である。わが国もエイズ王国にならんとも限らないようだ。やはり、消費者一人一人の、学習に待つ他あるまい。
発売されるピルは約10種類あるが大差はないようだ。どれを選んでも大した変わりはない。21日用も28日用も全く同じであり、7日分多いのは毎日飲む習慣をつけるだけのためであり、最後の7日分はクスリでもなんでもない偽薬(メリケン粉で出来て同じ形をしている錠剤)というものだ。クスリはいづれも21日分のみである。21日に特定しているのは月経周期を28日位に設定しているからだ。特にそれ以外に意味はないようだ。