着床前検査


 検査は着床前の受精卵を取り出し、その1個細胞より遺伝子レベルの検索を加えることを行う。主として遺伝する病気の診断に用いれられる。

 アメリカ等海外ではすでに着床前診断が実施されており、統計DATAによれば、世界の35施設で771人が診断を受け1208回実施されたという(1997年)。うち妊娠に成功したケースは231例で166人が誕生している。一応診断の対象はキンヂストロフィーと血友病であるが、結果的にこの中で遺伝性疾患を持つ赤ちゃんは2人であったという。診断の結果は100%正確ということではない。また実際の検査においては、4〜8個に分割した受精卵を取り出し、その段階で、そのひとつの細胞を取り出し診断用に供するわけだが、この一部の欠損した受精卵を母体へ戻すことの安全性は、たとえ動物実験で確立されているとはいえ、人への応用が「絶対安全」とは断言できない。

 また体外受精という、本来は不妊症治療の技術を診断に応用していいか、と言う疑問もある。対外受精では、排卵誘発剤の投与による腹痛や最悪の場合死に至る卵巣過剰刺激症候群という副作用が数%だが報告されている。また受精卵を子宮に戻した場合の妊娠率は20〜25%と低く、妊娠するためには1回数十万円といわれる体外受精を5〜6回受けなければならない。

 日本では特定の型の筋ジストロフィーなどの男性特有の病気を対象に考えているため、性染色体で女であると確認できた受精卵と、男で病気でないと診断された受精卵を母体の子宮に戻すことになる。女性であるかどうかは性染色体で99%の確率で判明、対象になっている疾患の遺伝子診断の判明率は70%以上とされている。学会ではこの診断法を導入する理由として、妊娠後の中絶を回避できる、受精卵段階なので「子供を選別する」という心理的圧力が軽い、遺伝性疾患のための妊娠をあきらめていた夫婦が、安心して妊娠できる等の利点を挙げている。


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