着床前診断の実施承認(学内倫理委員会)
新聞・TVの報道によれば1月28日、鹿児島大倫理委員会は、条件付きながらも、一部筋ジストロフィーを対象とした着床前受精卵の遺伝子的検査のゴーサインを出した。来月にも日本産婦人科学会に申請するという。
重い遺伝病の子どもの出産を避けるため、体外受精をして、その受精卵を検査する「着床前診断」の実施する。対象は、筋ジストロフィーのうち進行が速く症状が重いデュシェンヌ型で、早ければ来月にも学会に申請し、国内初の実施に踏み出す。しかし、病気になる可能性がある受精卵は母体に戻されないため、「病気の有無による生命の選別だ」など批判は根強い。
倫理委は、患者の同意を得る際には医師2人とともに遺伝学に詳しいもう1人の医師らがカウンセラーとして加わり、説明をより客観的にすることを承認の条件とした。
従来の出生前診断では、胎児の病気が分かると人工妊娠中絶される例が多かった。着床前診断だと中絶が避けられるほか、遺伝病を心配して妊娠をあきらめていた夫婦が妊娠を望めるとされ
る。
産科婦人科学会は遺伝子による病気の診断を基本にしているが、病気の原因となる遺伝子の検査はまだ完全ではないのが現状である。鹿児島大はまづ受精卵の性別を調べる。デュシェンヌ型筋ジストロフィーはほとんど男性にしか発症しないので、女性と確認できた受精卵だけを母体に戻すというが、男性の場合でも、正常な受精卵もあり、冷凍保存し、遺伝子による病気の診断が可能かどうか研究、さらに検索する。実際には、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの長男のいる30代の夫婦の受精卵の診断をする。将来、病気の遺伝子そのものを検査する可能性もあるという。
診断の精度も完全ではないため、羊水などの検査が必要になる。障害者団体などは、障害者の生存権の侵害だとして反対運動を起こしている。まあ神の関わる分野と浅はかな人間様の業との関わりの問題とも想うのだが、あまりにも神を冒涜する事を続けているなら、いつかひどいしっぺ返しを受けるに違いない。
学会は診断を認めるにあたり、(1)重い遺伝病に限る(2)対象の病気や実施する医療機関がふさわしいかなどを学会が審査する(3)患者の同意は文書で得るといった条件をつけた。
◇受精卵遺伝子診断◇
体外受精で受精卵を作り、その受精卵を検査して、性別や、特定の遺伝子の異常の有無などを調べる。異常なしと判定された受精卵だけを母体に戻すことで、遺伝病の子供を妊娠するのを防ぐ。検査法はいくつかあるが、鹿児島大は受精卵が四〜八つの細胞に分裂した段階で細胞を一つ取り外して遺伝子を分析する。この診断でこれまでに世界で166人の子が生まれ、みな健康だったとされる。
だが、受精卵は正常と判定されたのに妊娠後に異常が分かった子も7人おり、ほとんどは中絶された。こうした誤診に対応するため、妊娠後にあらためて胎児を検査する必要もある。