脳死移植 生前口頭で意思伝達 2010.8.9
口頭意思で確認
「万が一の時は臓器提供して」。改正臓器移植法で初の脳死臓器移植が実施される見通しとなった。交通事故で脳死となった20代の男性は、家族に臓器提供の意思を伝えていた。本人の書面による意思表示がなく、家族の承諾だけで行われた脳死判定。日本臓器移植ネットワークが提供に至る説明を控える一方、医療機関は「失敗は許されない」と緊張した様子で準備を進めた。家族の心理的負担が心配される中、移植医療は新たな一歩を踏み出した。
男性は臓器移植の意思を家族に口頭で表明していたというが、会見した移植ネットの小中節子医療本部長は、その時期や家族の誰に意思表示をしたのかなど詳細は明らかにしなかった。石川県の臓器移植コーディネーター、山口裕美子さんは「大事なのは、家族の方が納得できるような結論を出すこと。家族は本人が意思表示カードを持っていたとしても、『本当に提供の意思があったんだろうか』という気持ちになる場合がある」と語る。家族が後に苦しまないようにするためにも、提供を拒否する意思を見落とさないことが重要だという。
家族の臓器を提供した経験を持つドナー家族の思いは複雑だ。平成9年に長女、朝子さん=当時(24)=を交通事故で亡くし、ドナー家族となった間沢容子さん(64)は「娘の強い意思があったから提供を決断できたが、もし娘の意思が確認できていなかったら提供しなかったかもしれない」と話す。朝子さんは交通事故に遭う前から、手紙や電話で「移植でしか助からない人がいる。私にもしものことがあれば提供してほしい」と両親に意思を伝え、ドナー登録もしていたことが背中を押したのだという。一方、今回、男性が提供する臓器を受け入れる医療機関では緊張感が高まっている。
日本臓器移植ネットワークは9日、関東地方の病院で交通事故のため脳死状態になった20代の男性について、本人は文書で臓器提供の意思を示していなかったが、家族が脳死判定と提供を承諾し、法的に脳死と判定されたと発表した。7月に施行された改正臓器移植法に基づく初のケース。移植ネットによると、男性は生前、家族に対し、「万が一の時は臓器提供してもよい」と口頭で臓器提供の意思を伝えていた。数人の家族の総意により、提供を決めたという。移植ネットは、本人が提供を拒否していないことを意思表示カードや健康保険証、運転免許証に記載がないことなどで確認したとしている。男性は交通事故で病院に入院し、5日に家族が臓器移植について移植コーディネーターの説明を受けることに同意。8日に脳死判定と臓器摘出の承諾書にサインをした。6歳以上の場合の法的脳死判定は、2回の検査の間隔を6時間以上空け、2回目終了時が死亡時刻となる。男性の1回目の法的脳死判定は8日午後9時半に始まり、同11時12分に終了。2回目は9日午前10時26分に始まり、同11時55分に終了した。臓器摘出手術は10日午前3〜4時ごろ始まる予定。家族は心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓(すいぞう)、小腸、眼球の提供を承諾している。移植ネットは登録した待機患者の中から、優先度の高い患者を選ぶ。心臓は国立循環器病研究センター(大阪府)で20代の男性に、両肺は岡山大病院で20代の男性に、肝臓は東京大病院で60代の女性に、一方の腎臓と膵臓は藤田保健衛生大病院(愛知県)で50代の女性、もう一方の腎臓は群馬大病院で10代の男性に移植される方向で調整している。小腸は医学的な理由で断念された。
■改正臓器移植法 昨年7月成立し、今年7月17日に施行。脳死での臓器提供要件を大幅に緩和した。従来は15歳以上で本人の書面による意思表示が必要だったが、子どもを含め、生前に拒否していなければ家族の承諾で提供できる。家族の範囲は原則として配偶者、子、父母、孫、祖父母と同居の親族。提供拒否の意思は年齢に関係なく有効。改正法のうち、事前に意思表示しておけば親や子、配偶者に優先提供できる規定は1月に施行、5月に初の適用例として、夫から提供された角膜が妻へ移植された。
■脳死判定 脳死状態であることを確認する検査。臓器移植法は、大脳を含むすべての脳機能が失われて回復しない状態を脳死と規定しており、深昏睡、瞳孔固定、脳幹反射の消失、平たん脳波、自発呼吸の消失を確認する。6歳以上は6時間以上、6歳未満は24時間以上の間隔を空け2回検査し、2回目の終了時を死亡時刻とする。いわゆる植物状態は、呼吸などをつかさどる脳幹の機能が残っており、脳死ではない。脳死は心停止、呼吸停止、瞳孔散大の3兆候を確認する「心臓死」と異なり、人工呼吸器を着けて心臓は動いている。
移植ネットは登録した待機患者の中から、優先度の高い患者を選ぶ。心臓は国立循環器病研究センター(大阪府)で20代の男性に、両肺は岡山大病院で20代の男性に、肝臓は東京大病院で60代の女性に、一方の腎臓と膵臓は藤田保健衛生大病院(愛知県)で50代の女性、もう一方の腎臓は群馬大病院で10代の男性に移植される方向で調整している。小腸は医学的な理由で断念された。
■改正臓器移植法 昨年7月成立し、今年7月17日に施行。脳死での臓器提供要件を大幅に緩和した。従来は15歳以上で本人の書面による意思表示が必要だったが、子どもを含め、生前に拒否していなければ家族の承諾で提供できる。家族の範囲は原則として配偶者、子、父母、孫、祖父母と同居の親族。提供拒否の意思は年齢に関係なく有効。改正法のうち、事前に意思表示しておけば親や子、配偶者に優先提供できる規定は1月に施行、5月に初の適用例として、夫から提供された角膜が妻へ移植された。
■脳死判定 脳死状態であることを確認する検査。臓器移植法は、大脳を含むすべての脳機能が失われて回復しない状態を脳死と規定しており、深昏睡、瞳孔固定、脳幹反射の消失、平たん脳波、自発呼吸の消失を確認する。6歳以上は6時間以上、6歳未満は24時間以上の間隔を空け2回検査し、2回目の終了時を死亡時刻とする。いわゆる植物状態は、呼吸などをつかさどる脳幹の機能が残っており、脳死ではない。脳死は心停止、呼吸停止、瞳孔散大の3兆候を確認する「心臓死」と異なり、人工呼吸器を着けて心臓は動いている。
全ての事柄を発表しクリアカットに処理し一点の曇りも残さないでほしい。昔のように移植医の効を急ぐ奢り、先陣競争に明け暮れてはならない。喜ばしい傾向に医学が発展し、移植医療なんて過去の遺物となってしまうことになるやもしれぬ。