アスピリンとライ症候群
昭和57年、米国においてサリチル酸系製剤、特にアスピリンの使用とライ症候群の関連性を疑わせる疫学調査結果が報告された。我が国においては、米国での疫学調査結果を受け、使用上の注意の改訂やドクターレターの発行などの安全対策措置を講じるとともに、継続した調査研究を行ってきた。
一連の調査研究が終了したこと、海外でも新しい文献、提言があることを踏まえ、中央薬事審議会副作用第二調査会において、我が国におけるライ症候群とサリチル酸系製剤との関係について考察した結果、次のような結論が得られた。
米国では、ライ症候群とサリチル酸系製剤の使用の間に疫学的な関連性が示されたが、我が国のケース・コントロール・スタディーでは疫学的関連性は見られておらず、また、その後継続された疫学的調査においても、その関連性は明らかにされなかった。
日米の疫学調査結果が異なったものになった原因として、我が国のアスピリンの使用量、消費量が米国に比べ低いことなど日米のアスピリンの使用状況の差が結果に反映されたものと考えられる。
以上のように、我が国においてライ症候群発症とサリチル酸系製剤の使用との間に疫学的な関連性を結論付けるには至っていないが、本年7月に発表された米国小児科学会における総合的なレビューも踏まえ、我が国においてもサリチル酸系製剤の小児への使用のあり方について、改めて一層の注意喚起を行い、所要の措置を講じることが適当と考えられる。
この調査会の意見を踏まえ、アスピリン等のサリチル酸系薬剤を含有する医療用医薬品については、使用上の注意のライ症候群の記述を一部改めるとともに、同薬剤を含有する一般用かぜ薬、解熱鎮痛薬については、小児に対する用法を削除するよう承認基準を改定することとした。(現在、一般用解熱鎮痛薬のアスピリン単味剤には小児の用法は認められていない。)
なお、サリチルアミド又はエテンザミドを含有する医療用医薬品については、その使用上の注意にアスピリンを含有する医療用医薬品と同様の記載を行うこととし、同薬剤を含有する一般用のかぜ薬及び解熱鎮痛薬については、現行のアスピリン含有製剤と同様の使用上の注意の記載を行うこととした。