【年約600人の赤ちゃん突然死】うつぶせ寝だと危険度3倍・ 人工乳・喫煙は5倍、厚生省が防止を呼びかけ
年間約600人の赤ちゃんが死亡している乳幼児突然死症候群(SIDS)について、うつぶせ寝にすると仰向けで寝かせるより発症リスクが3倍も高いことが1日、厚生省の研究班の初めての全国調査で明らかになった。人工乳保育、保護者の喫煙も約5倍、SIDSの発症リスクが高かった。これを受け、厚生省は、赤ちゃんはうつぶせ寝ではなく、仰向けで育てようなどと呼びかける啓発キャンペーンを始めることを決めた。母乳保育、保護者の禁煙も奨励し、赤ちゃんのSIDSによる死亡を半減させたいとしている。
「乳幼児死亡の防止に関する研究班」(主任研究者・田中哲郎国立公衆衛生院母子保健学部部長)が1996年1月から97年6月末までの間にSIDSで死亡した乳幼児837人を実態調査した。死亡した乳幼児と同性で、生年月日や住所がなるべく近い元気な乳幼児も同数抽出、ともに保健婦が家族から出生時の状況や育児環境などを聞いた。うち377組について死亡児と元気な乳幼児を比較した。それによると、SIDSで死亡した乳幼児で死亡当日うつぶせ寝にされていたのは128人で、全体の34%。それに対し、元気な乳幼児でのうつぶせ寝の割合は15.4%だった。
これらのデータを基に統計処理し、発症リスクを分析すると、うつぶせ寝は仰向けに比べて3倍、人工乳は母乳保育に比べて4.8倍高いことがわかった。喫煙環境についても、父親や母親が喫煙すると発症の危険度が高まり、父母ともに喫煙する家庭は、喫煙者のいない家庭より4.7倍発症リスクが高かった。
厚生省は、この結果から、(1)うつぶせ寝(2)人工乳保育(3)保護者などの習慣的喫煙が、SIDSの誘発因子になると判断、仰向けに寝かせ、できるだけ母乳を与えて、妊娠期間も含めて保護者は禁煙するよう勧奨していくことを決めた。母乳については、ダイオキシンによる汚染問題も指摘されているが、厚生省は直接死にかかわる要因なので、ダイオキシン問題とは切り離して母乳保育を勧めるとしている。
具体的には、医療関係団体や児童福祉施設、警察などからなる連絡会議を開いて、情報の共有化を図るとともに、一般家庭向けに、妊産婦・乳幼児健康診査の機会や母子健康手帳への情報記載、ポスター、パンフレットなどを通して普及・啓発する。
◆乳幼児突然死症候群(SIDS=SUDDEN INFANT DEATH SYNDROME)
それまでの健康状態や既往歴からは全く予想できず、解剖しても原因がわからない、乳幼児に突然の死をもたらす症候群。赤ちゃんが睡眠時の無呼吸から覚せいする反応が遅れるために発生するといわれている。日本では年間約600人が亡くなっている。2000人に1人の割合だが、1歳未満の特に6カ月までの赤ちゃんに多い。