頚部リンパ腺炎


普通の状態で顎骨の直下に拇指大の腫瘤が触知されることが良くある。特に風邪とか頚部より上部になにか炎症があるとき、日常茶飯事にみられ、原因疾患が治癒すれば、当然ながらこの腫瘤も縮小する。まずなんら心配のないことが殆ど大多数である。なかには癌腫のように恐い病気もあるので病院に行かれるとよい。質問の状態では詳細不明なので以下に側頚部腫瘤について一般的解釈を記述する。

診断のチェックポイント

側頚部腫瘤には多くの種類がある.視診,触診などによって診断を組み立ててゆくが,一般にはその質的診断はむずかしいものである.

【1】良性か悪性か? 腫瘤の大きさ,硬さ,可動性,特に大血管(内頚,外頚,総頚動脈,内頚静脈)との関係はどうなっているか? 摘出手術可能かどうか?

【2】原発か頚部リンパ節への転移か? 頭頚部管腔の内診,さらに胸腹部臓器の検査によって原発癌の有無を検査する.

【3】頭頚部腫瘍の頚部への進展ではないか? 頭頚部管腔を内視あるいは触診して頚部腫瘤との関係を検査する.

【4】原発巣不明の頚部リンパ節転移も臨床的には稀にあり得る.この場合には摘出後,精力的に経過を追求して原発部位の発見に努力する.

【5】多発性の腫瘤か? 軟らかい腫瘤であれば結核性リンパ節炎か悪性リンパ腫,ホジキンリンパ腫を考える.多発性で硬ければ癌の転移を考える.

【6】pseudotumorとして炎症,膿瘍,嚢胞,結核性リンパ節炎などがある.

鑑別のポイント

側頚部腫瘤は重要なサインであり,まず悪性腫瘍を念頭に置いて診断を進める.

【1】問診

年齢,性別は参考になる.小児期よりのものは先天性異常(正中頚嚢胞,側頚嚢胞,リンパ管腫,血管腫,類皮嚢胞など)が考えられ,比較的若年者にはリンパ節炎(単純性,結核性)がある.また甲状腺腫瘍は女性に多く,扁平上皮癌の頚部転移は50歳以上の男性に多い.最も重要なことは頭頚部管腔内部の症候の有無である.

【2】視・触診

腫瘍がどこに発生しているか(顎下三角部,側頚部上,中,下か,鎖骨上窩部か),単発か多発か,大きさ,可動性があるか,などを触診する.触診は両手を用い,まず患者の側方に立ち,右手で頚部後方を固定し,左手でMoureサイン(喉頭の左右への可動性)を検査してから,頚動脈との位置関係を知る.

【3】内視鏡検査

鼻鏡,後鼻鏡,喉頭鏡および各種ファイバースコープを用いて管腔の病変を記録する.悪性腫瘍を疑えば生検によって確定診断を行う.一般に側頚部腫瘤のほとんどは【1】〜【3】で診断可能となるが,専門病院ではさらに診断精度を高めるために以下の検査が行われることもある.

【4】X線検査

甲状腺腫瘍,リンパ節の石灰化診断,唾石,頚動脈小体腫瘍(血管造影)などに有用である.

【5】X線CT,MRI検査

腫瘍の進展状況と周囲組織との関係をみるのに優れている.とくに頚部大血管との関係が術前に理解され,あらかじめ術者に有力な情報を提供する.

【6】RI検査

悪性リンパ腫,リンパ節転移癌にはGa-67,甲状腺腫瘍にはI-131,Tl-201などが用いられる.

【7】穿刺吸引細胞診,生検

どうしても確定診断ができない場合に行われる.しかし生検(open biopsy)については慎重に行わないと,しばしば予後を悪くする.

一日にも早く回復することを祈る


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