バイアグラ承認へ、来春にも発売
厚生省の中央薬事審議会で米国製の性的不能治療薬・バイアグラが承認された。
厚生省のは21日、米国製の性的不能治療薬「バイアグラ」を医薬品として承認することを決めた。あとの国内手続きは24日に開かれる中央薬事審議会常任部会の承認のみとなったが、こちらの方は特別部会の答申を得て形式的なものだけである。バイアグラはこうした経過をえて、来年1月にも国内販売が認められ、わが国において、医師の診断・処方を受ければ服用が可能となる。申請から5カ月でスピード承認される背景には、未承認段階で横行している同薬の個人輸入に「医師の診断がないままの服用は危険が多い」と歯止めをかける狙いがある。しかし承認後も個人輸入は自由なため業者側は「治療以外での需要はさらに拡大する」と強気で、未承認薬の個人輸入拡大を背景に業界団体を設立する動きも起きているが、承認薬だからといって自由奔放に歩き回るわけでもない。厚生省も推移を見ながら新しい規制を架けてくるだろう。
特別部会では米国や日本での臨床試験で約8割の人に効果があり、他に類似品がないことなどから承認が妥当と決めた(本邦初治験報告)。承認対象は1錠25ミリグラムと50ミリグラムの2種類(100mgは未承認・日本人は欧米人に比べて体格が小さい)で
(1)勃起不全の患者に1日1錠を処方する
(2)ニトログリセリン服用者など、心臓に持病がある人には服用を禁止する(高血圧も禁忌)
(3)患者は第三者には譲渡しない
(4)精力増強剤として使用しない(精力増強剤ではない)――ことなどを医師、患者に徹底することにしている。
ただし、日本では薬価基準には収載されないと言う。つまり健康保険を利用しては使用できないという(いわゆる保険が効かない全額自費である)。
通常、医薬品の承認は平均で2〜3年だが、今回は異例の5カ月という超スピード承認となった。つまり定められた第3相の臨床実験を省略して(米国でのフィールド実験の成績をそのまま利用・承認)の認可であり、背景には「正式承認すれば、結果的に個人輸入を減らすことができる」(平井俊樹・審査管理課長)との思惑が強いが、現実はそうはいかないだろう。国内では未承認薬であっても1カ月分を個人的に輸入するのは何ら規制がなく、「バイアグラ」の場合は6月ごろから急増。数千社がインターネットなどで募集して個人輸入を代行していたが、これらに公認を与えることだけにならなければよいが。
「バイアグラ」は医薬品として承認されても医療保険の対象とならない可能性が強い。服用を希望する患者は薬代に加え、別途処方せん料、場合によっては各種検査料などの一定額を自己負担することになる。米国では医師の処方による購入価格は1錠7ドル程度(保険適用外・診察料処方箋料は別)となっているが日本での価格設定によっては、現在50ミリグラム30錠1瓶で6万〜9万円程度で購入可能な個人輸入とそれほど差がでない可能性もある。現在の健康保険を利用しての試算では50mg30錠で最低でも3万140円となり、自費診療ともなれば最低でも45、000円位、場合によっては6万円位はするだろう。
一方、業者側が設立を目指しているのは「個人輸入代行協会」で、ここでは危険を伴う商品の情報提供や顧問弁護士による代行業者とのトラブルの解決あるいは悪徳業者排除のため自主規制ガイドラインの制定などを掲げ、来年1月の発足を目指している。発起人の弓長五百人氏(54)は「バイアグラによって個人輸入は注目されたが、実際には抗うつ剤や、やせ薬など多くの未承認薬がすでに持ち込まれ、個人の責任で使用されている。業界が認知され、健全な発展のためには協会の設立は必要」と説明する。
バイアグラは米国ファイザー社が開発し、日本の子会社、ファイザー製薬は今年7月に国内での承認申請を行った。米食品医薬品局によると、これまでに米国内で130人の死亡(世界的には11月24日までに185例死亡)が報告されている。多くはニトログリセリンを併用しているなど不適切な使用だったとされる。日本国内でも今年7月、友人から譲り受けた60歳代の男性が死亡したことが明らかになっている。(平成10年12月21日)
昨年の中央薬事審議会特別部会(12/21)ならびに中央薬事審議会幹部部会(12/24)の承認を得ていたバイアグラ(1/25/99)は厚生省から正式に告示された。発売までの全手続きを終了した。市場に出てくるのは2月上旬、早ければ1月末になるという。(平成11年1月25日)