介護保険制度(厚生省報道発表資料)


1.介護保険創設のねらい

1. 介護問題は高齢社会の最大の課題

1. 本格的な高齢社会の到来

1. 要介護者数の増加

2. 介護の重度化・長期化

+ 65歳以上の死亡者の2人に1人が死亡6か月前から寝たきりや虚弱

+ 寝たきり老人の期間   寝たきりの人の47%が3年以上寝たきり

3. 介護者の高齢化

+ 介護者の年齢  家庭の介護者の5割が60歳以上

2. 家族機能等の変化

1. 家庭介護者の9割は女性

2. 子との同居率の低下

3. 女性の就労の増加

3. 国民の介護への不安の高まり

高齢期の主な不安の内容は、2人に1人が、「自分や配偶者が寝たきりや痴呆で介護が必要になったときのこと」

4. 家族の過重な介護負担

+ 家庭介護者が要介護者に憎しみを感じる         約35%

+ 家庭介護者が要介護者を虚待したことがある       約50%

+ 高齢者介護のために精神的疲労を感じると答えた管理職  約46%

5. 国民の8割が介護保険の創設に賛成

1. 現行制度による対応には限界

+ 福祉ではサービスの選択がしにくい(行政による利用決定)

+ 制度間の利用料の不均衡

特別養護老人ホーム:年収800万円、老親が平均的な厚生年金受給者の世帯の負担は月額19万円

+ 社会的入院(介護を理由とする高齢者の長期入院)の医療費

1人月額50万円

2. 国民の8割が介護保険の創設に賛成(総理府世論調査)

2. 介護保険は社会保障の構造改革の第1歩

1. 介護保険創設のねらい

 介護に関する国民の不安に対応するため、福祉と医療に分かれている高 齢者の介護に関する制度を再編成し、利用しやすく、公平で、統一的な社会的支援システムを構築

1. 利用者が、自由にサービスを選択して利用できる仕組み

2. 介護に関する福祉と医療のサービスを総合的・一体的に提供

3. 画一的でなく、多様で効率的なサービスを提供

4. 社会的入院の是正などにより、医療費を効率化

2. 介護保険は、現行制度に比べ費用を効率化するとともに、今後の構造改革の道筋をつける第1歩

+ 少子高齢社会に向けて、社会保障制度を再構築し、国民負担の増大を抑制

+ 医療保険改革の一環として、医療から介護部分を切り離し、医療保険を効率化

+ 現行制度の負担の不均衡を是正し、高齢者も応分の保険料や利用料 を負担

3. 民間活力の活用

+ 民間事業者や農協、住民参加の非営利組織など多様な事業主体の参加

+ 有料老人ホーム(株式会社)でも介護保険のサービスを提供




2.介護保険制度案のポイント

1. 保険者は市町村

国、都道府県等が共同で支える重層的な制度

2. 市町村の連合組織(国民健康保険団体連合会)において財政支援事業をはじめとする市町村支援事業を実施

3. 被保険者は40歳以上の者

4. 保険給付は、適切な要介護認定を行った上、在宅・施設両面にわたる介護サービスを計画的に提供

5. 公費負担は給付費の2分の1

6. 利用者負担は費用の1割

施設の場合は食費は利用者負担

7. 保険料

o 65歳以上の被保険者(第1号被保険者)年金保険者による特別徴収を行うほか、市町村が徴収

o 40歳〜64歳の被保険者(第2号被保険者)

医療保険者が徴収の上一括して納付し、全国プールしたものを市町村に配分

8. 施行日

在宅サービスは平成11年度から、 施設サービスは平成13年度目途

9. 介護保険制度全体について、法律施行後の推移及び状況変化を踏まえて検討を加え、必要な見直し等の所要の措置




3.介護保険制度案の概要

(参考)介護保険制度案の概要

保険者

* 保険者は市町村。これを国、都道府県、医療保険者、年金保険者が重層的に支え合う。

被保険者

* 第1号被保険者=65歳以上、第2号被保険者=40歳以上64歳以下の医療保険加入者。なお、第2号被保険者については、脳卒中、初老期痴呆等老化に伴って生じた要介護状態に対して保険給付を実施。

(注)活動年齢期にある若年世代の要介護状態については、現行の障害者福祉施策(平成7年12月に策定された「障害者プラン」等)に基づいて計画的に対応。

保険給付

* 被保険者が保険給付の対象となる要介護状態等に該当するかどうかの確認(要介護認定等)を行った上で、在宅・施設両面にわたり多様な医療サービ ス、福祉サービス等を提供。

基盤整備

* サービス基盤の整備を計画的に進めるため、国が策定した基本指針に基づ き、市町村、都道府県がそれぞれ市町村介護保険事業計画、都道府県介護保 険事業支援計画を策定。

利用者負担

* 保険給付の対象費用の1割。施設においては、食費のうち平均的な家計において負担する部分は利用者の負担。

公費負担

* 高齢者介護に対する公的責任を踏まえ、公費の負担は総給付費の2分の1。 国:都道府県:市町村の負担割合は、2:1:1。

保険料

* 第1号被保険者については、老齢・退職年金からの特別徴収を行うほか、特 別徴収が困難な者については、市町村が個別に徴収を実施。

* 第2号被保険者については、医療保険各法の定めるところに従い医療保険者が徴収の上、一括して納付。これを各市町村に対し、各市町村の給付費に占める割合が全国一律となるように交付。

市町村の支援

* 市町村における保険財政の安定化、保険者事務の円滑な実施を確保するため、国費による財政調整のほか、市町村の連合組織である国民健康保険連合会において、財政支援事業等を実施。

施行

* 介護保険制度の施行に当たっては十分な準備期間を置くこととし、新ゴールドプランの達成状況等を見極めつつ施行日を設定(在宅は平成11年度、施 設は平成13年度を目途)。

検討

* 介護保険制度全体について、制度施行後の推移及び状況変化を踏まえて検討を加え、被保険者の範囲、保険料の在り方等について必要な見直しを実施。

[備考]

* 介護保険制度の創設に合わせ、療養型病床群制度の診療所への拡大等を内容とする医療法の改正等関係法律の改正を予定。


4.3つの疑問について

Q1 財政面や事務面で市町村は不安ではないか?

1. 全体費用の8割強は、公費と医療保険者納付(費用が当初見込みより増加した場合は、精算交付)

2. 市町村が徴収する高齢者保険料は、全体費用の2割弱(さらに、高齢者の70%は年金天引き)

3. 市町村が徴収する高齢者の保険料に未納があったり給付費が急増した場合には、各都道府県の国民健康保険団体連合会に設ける財政安定化基金により財政支援事業を行う新たな仕組みを導入。

4. 市町村の保険料は、国民健康保険団体連合会が示す基準により設定。その改定は3年に1回とし、各市町村が同時改定となる仕組みを導入。

5. 要介護認定の事務については、国民健康保険団体連合会や都道府県に委託が可能。

Q2 費用が増えるのではないか?

1. 今後、高齢化に伴って、介護に関するニーズが増加し、介護費用も増加

2. 介護保険制度は、現行制度を再編成し、高齢者介護サービスを総合的・効率的に提供するもの

介護保険制度における介護費用の見通し (平成7年度価格)

(注)平成17年度までの介護費用については、在宅サービスの利用が、介護保険制度導入の当初から大きく伸びるケースと緩やかに伸びるケースの2つのケースで試算を行っている。
(注)40〜64歳の老化に伴う介護費用は約0.1兆円

3. 要介護認定により適正にサービスを給付。出来高払いではなく定額払いなので、非常に高額な費用は生じない。

4. 社会的入院の解消により、現行制度の場合よりも介護費用は効率化。

(注)

1. 社会的入院は、介護を理由とする高齢者の長期入院。1か月の費用は1人 約50万円。介護施設の場合は26〜43万円。

2. 介護費用は、介護保険制度導入後において在宅サービスの利用率が緩やかに伸びるケース

Q3 介護保険のサービスを受けられる対象者は、限られるのではないか?

1. 要介護であったり虚弱であるために、介護保険のサービスの対象となる高齢者は、65歳以上の約13%であるが、80〜84歳では25%、85歳以上では約50%

2. また、65歳以上の死亡者のうち、死亡前に、3人に1人は1年以上、2人に1人は6か月以上の間、要介護であったり虚弱であるために介護その他の支援 が必要

3. 要介護や虚弱でない元気な人には、老人保健の健康相談、検診、福祉の生きがい対策などで対応

4. 介護サービスの基盤整備を促進

1. 新ゴールドプラン(総額9兆円)に基づく在宅サービスや施設の整備

2. 介護保険事業に関する計画の作成など国、地方を通じた計画的な基盤整備の推進

3. 小規模な市町村やサービス不足地域への支援


5.介護保険制度案Q&A

Q いま、なぜ介護保険制度が必要なのですか。

A 《介護問題は老後生活最大の不安要因》

* 今後、高齢化の進展に伴って、寝たきりや痴呆の高齢者が急速に増えることが 見込まれています。また、介護が必要な期間が長期化したり、介護者の高齢化などが進んでおり、家族による介護では十分な対応が困難となってきています。こうした中、今日、介護問題は、国民の老後生活最大の不安要因となっています。

  《現行制度は医療と福祉の縦割り》

* 高齢者介護に関する現行の制度は、医療と福祉の縦割りの制度となっており、サービスが自由に選択できない、サービス利用時の負担に不公平が生じている、介護を理由とする長期入院(いわゆる社会的入院)等医療サービスが非効率に利用されている等の問題が指摘されています。

《急速に増加する介護費用への対応》

* こうした不安や問題の解消を図り、今後、急速に増加することが見込まれる介護費用を将来にわたって国民全体で公平に賄う仕組みの確立が求められています。

【今後、急速に増える寝たきりや痴呆の高齢者】

【65歳以上で亡くなった方の平均寝たきり期間は、8.5か月】

 (出典)人口動態社会経済面調査(平成7年)

【85歳を超えると4人に1人が要介護状態】

寝たきり(寝たきりでかつ痴呆の者を含む)

(国民生活基礎調査、社会福祉施設調査等から推計)

※なお、虚弱の高齢者も同様の発生割合となっている。

【介護する者の2人に1人は60歳以上】

(出典)厚生省「国民生活基礎調査」(平成4年)

【介護を受ける者に対し憎しみを感じたことがある者が35%】

 〔介護を受ける者に対し憎しみを感じる介護者は3人に1人〕

 〔介護を受ける者に対し虐待したことのある介護者は2人に1人〕

【家族介護者にとって心身両面の負担が大きい】

(注1)家庭で介護した経験のある者を対象に調査

(注2)重複回答

(出典)厚生省「保健福祉動向調査」(平成2年)

【老後の不安(2人に1人は自分や配偶者が寝たきりや痴呆となって介護が必要となったときが不安)】

(出典)総理府「高齢期の生活イメージに関する世論調査」(平成5年)

【高齢者介護に関する現行制度の問題点】

−老人福祉−

対象となるサービス

* 特別養護老人ホーム 等

* ホームヘルプサービス、デイサービス 等

(問題点)

* 市町村がサービスの種類、提供機関を決めるため、利用者がサービスの選択をすることができない

* 所得調査が必要なため、利用に当たって心理的抵抗感が伴う

* 市町村が直接あるいは委託により提供するサービスが基本であるため、競争原理が働かず、サービス内容が画一的となりがち

* 本人と扶養義務者の収入に応じた利用者負担(応能負担)となるため、中高所得層(サラリーマンOB層)にとって重い負担

平均的なサラリーマン世帯(年収800万円)、老親は厚生老齢年金受給者の場合の特別養護老人ホームの老親本人の負担は14.9万円/月、扶養義務者の負担は4.1万円/月、合計19万円/月

−老人医療−

対象となるサービス

* 老人保健施設、療養型病床群、一般病院 等

* 訪問看護、デイケア 等

(問題点)

* 福祉サービスの基盤整備が不十分である一方、利用者負担が中高所得層にとって入院の方が低いことなどから、介護を理由とする一般病院への長期入院の問題が発生(特別養護老人ホームや老人保健施設に比べてコストが高く、医療費のムダ)

* 治療を目的とする病院では、スタッフや生活環境の面で、要介護者が長期に療養する場としての配慮が不十分(居室面積が狭い、食堂や風呂がない)

Q  介護保険制度の創設によって何がどう良くなりますか。

A 《利用しやすく公平で効率的な社会的支援システムの実現》

* 介護保険制度は、老人福祉と老人医療に分かれている高齢者の介護に関する制 度を再編成し、利用しやすく公平で効率的な社会的支援システムを構築するものです。

o 利用者本位の制度として、自らの選択に基づいたサービス利用が可能となります。

o 高齢者介護に関する福祉サービスと医療サービスの総合的・一体的な提供が可能となります。

o 公的機関のほか、民間事業者の参入促進が図られ、多様で効率的なサービス提供が期待できます。

o 社会的入院の是正などにより医療費のムダが解消されます。

《国民の8割強が賛成》

* 平成7年に総理府が実施した高齢者介護に関する世論調査では、国民の8割強(賛成46.7% どちらかといえば賛成35.6%)が介護保険制度の創設に賛成しています。

【現行の老人福祉と老人医療の制度を介護保険制度に再編成】

《現 行 制 度》

【老人福祉】

施設 ○特別養護老人ホーム

  ○ホームヘルプサービス

在宅 ○ショートステイ

   ○デイサービス

   ○福祉用具給付・貸与など全額公費

【老人保健(医療保険)】

施設 ○老人保健施設

   ○療養型病床群など

在宅 ○老人訪問看護など

医療保険料+公費

    ↓

《新制度》

【介護保険】

     ○特別養護老人ホーム

施設  ○老人保健施設

  ○療養型病床群など

  ○ホームヘルプサービス

  ○ショートステイ

  ○デイサービス

在宅  ○リハビリテーション

  ○グループ・ホーム

  ○福祉用具給付・貸与など

  ○老人訪問看護など 介護保険料+公費

Q 介護保険では、どのような人が保険給付の対象となるのですか。医療保険と違って対象者がかなり限定されてしまうのではないですか。

A ≪被保険者の範囲は40歳以上≫

* 被保険者は、@65歳以上の方(第1号被保険者)と、A40歳から64歳までの方のうち医療保険に加入している方(第2号被保険者)です。

* これらの被保険者の方が、@入浴、排せつ、食事等の日常生活動作について介護を必要とする状態(要介護状態)にある、あるいは、A虚弱な状態であって要介護状態とならないために適切なサービスを受けることが必要な状態(要介護状態となるおそれのある状態)である場合に、保険給付の対象となります。なお、40歳から64歳までの方については、脳卒中、初老期痴呆など老化に伴って生じた要介護状態に対し保険給付を行います。

≪85歳以上では2人に1人が対象≫

* 要介護状態であったり、要介護状態となるおそれのある状態であるために、介護保険の保険給付の対象となる高齢者の方は、全高齢者(65歳以上)の約13%ですが、80歳〜84歳では約25%、85歳以上では約50%と見込まれます。

* また、65歳以上で亡くなった方のうち、約3人に1人は1年以上、約2人に1人は6か月以上の間、寝たきりや寝たり起きたりの状態となり(3ページ参照)、生涯を通して見た場合、介護保険の保険給付の対象となる可能性は決して低いものではないと考えられます。

* なお、要介護状態などではない元気な方々に対しては、健康相談、健診などの保健事業、生きがい対策などが老人保健制度等により実施されます。

【若年世代の要介護状態への対応】

 活動年齢期にある若年世代の要介護状態については、現行の障害者福祉施策(平成7年12月に策定された「障害者プラン」等)の充実により計画的に対応します。なお、介護保険制度スタート後、障害者プランの進捗状況、障害者福祉施策との整合性などに配慮して、被保険者の範囲を含め制度全般について検討を行うこととしています。

Q 介護保険では、どのようなサービスが受けられるのですか。

A 《自立支援のためのサービス −24時間対応を目指す−》

* 介護保険は、介護を必要とする方がその有する能力に応じて自立して生活できるよう、在宅・施設の両面にわたって必要な福祉サービス、医療サービスなどを提供するためのものです。

* 特に、在宅に関する給付については、介護を必要とする多くの方々が、できる 限り住み慣れた家庭や地域で生活を送ることができるようサービス内容の充実を図り、24時間対応が行えるような水準を目指すこととしています。

【介護保険の給付内容】

在宅に関する給付

* 訪問介護(ホームヘルプサービス)

ホームヘルパーが家庭を訪問して介護や家事の援助を行います

* 訪問入浴

浴槽を積んだ入浴車で家庭を訪問して、入浴の介護を行います

* 訪問看護

看護婦等が家庭を訪問して看護を行います

* 訪問・通所によるリハビリテーション

理学療法士や作業療法士等が、家庭を訪問したり、あるいは施設において、リハビリテーションを行います

* かかりつけ医の医学的管理等

医師、歯科医師、薬剤師等が家庭を訪問し、療養上の管理や指導を行います

* デイサービス

デイサービスセンター等において、入浴、食事の提供、機能訓練等を行います

* 短期入所サービス(ショートステイ)

介護を必要とする方を介護施設に短期間お預かりします

* 痴呆の要介護者を対象とするグループホームにおける介護

痴呆のため介護を必要とする方々が10人前後で共同生活を営む住居(グループホーム)において介護を行います

* 有料老人ホーム等における介護

有料老人ホーム等において提供されている介護なども介護保険の対象とします

* 福祉用具の貸与及びその購入費の支給

車椅子やベッドなどの福祉用具について貸与を行うほか、貸与になじまないような特殊尿器などについて購入費の支給を行います

* 住宅改修費の支給

手すりの取付や段差解消などの小規模な住宅改修について、その費用を支給します

* 居宅介護支援(ケアマネジメントサービス)

介護を必要とする方の心身の状況、意向等を踏まえ、上記の福祉サービス、医療サービスの利用等に関し、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、これらが確実に提供されるよう介護サービス提供機関等との連絡調 整などを行います

施設に関する給付

* 特別養護老人ホームへの入所

* 老人保健施設への入所

* 療養型病床群、老人性痴呆疾患療養病棟その他の介護体制が整った施設への入院

市町村の独自給付

 以上の給付のほか、市町村は、地域の独自のニーズに応じ、65歳以上の方(第1号被保険者)の保険料を財源として、以下の給付を行うことができます。

* 介護を必要とする方等に対する寝具洗濯・乾燥サービスなどの給付

* 介護研修、介護をしている家族のリフレッシュを目的とする交流会や一人暮らしの被保険者のための配食サービスなど

【要介護高齢者の心身の状態等に対応して作成した在宅の標準的サービスのモデルの一例】

自分で寝返りすることはできるが、日常生活行動には介護を必要とし、療養上の管理を必要とするケース。要介護高齢者が虚弱な高齢配偶者と、夫婦で生活している場合。

Q 介護保険により給付を受けている場合、医療保険により医療が受けられなくなるといったことはありませんか。

A 《かかりつけ医等による医学的管理、訪問看護、リハビリ等をカバー》

* 高齢期において介護を必要とする方は、通常、日常生活動作について介助を必 要とするだけでなく、その機能の維持回復を図ることが必要です。また、加齢に伴う心身の衰えを原因として病気を有している場合も多く見られることから、介護保険では、こうした要介護者の心身の特性を踏まえ、かかりつけ医等 による医学的管理、訪問看護、訪問・通所によるリハビリテーション等の医療サービスを対象とするほか、療養型病床群(病院)や老人保健施設等の医療提供施設への入院(入所)に適用することとしています。

《治療が必要な要介護者には医療保険からも給付》 

* ただし、介護を必要とされる方であっても、病状が悪化したり、新たな病気に罹った場合などには、一般の医療機関において、外来・入院いずれの医療も受けることができます。この場合、その費用は医療保険がカバーすることとなります。

【介護保険と医療保険】

介護保険

〈要介護者の心身の特性に適した医療〉

* かかりつけ医等による医学的管理

* 看護婦等による訪問看護

* 訪問・通所リハビリテーション

* 老人保健施設への入所

* 療養型病床群等介護体制が整った病院への入院

医療保険

〈通常の医療〉

* 一般の医療機関における外来・入 院

介護を必要とする方

Q 介護保険では、どのような手続きでサービスが利用できるのですか。

A ≪本人のサービス選択が基本≫

* 介護保険では、介護を必要とする方が自らの意志に基づいて、利用するサービスを選択し、決定することになります。それを専門家が連携して支援する仕組みを確立します。

* まず、要介護者は、要介護状態の基準に該当するかどうか、介護がどの程度必要なのかについて、保険者(市町村)が行う要介護認定を受けます。なお、要介護認定の結果に不服がある時には、都道府県に設置された審査機関に不服申立を行うことができます。

≪専門機関がサービス利用を支援≫

* 要介護認定の結果を踏まえ、サービスを利用します。この時、本人あるいはその家族自身が直接、介護サービス提供機関に利用を申し込むことも可能ですし、自分に適したサービス内容の選定や介護サービス提供機関との調整について専門機関に依頼することもできます。

* 要介護認定の結果は、一定期間ごとに見直します。

【在宅サービスの利用の流れ】

Q 介護保険のサービスを利用した場合、自己負担(利用者負担)はどうなるのですか。

A 《1割負担が基本。低所得の方に配慮》

* 利用者は、介護サービス費用の1割を利用時に負担します。また施設入所の場合には、平均的な家計において負担する食費の額が利用者の負担になります。なお、これにより従来のような老人福祉(所得に応じた負担:応能負担)と老人保健制度(サービス利用高に応じた負担:応益負担)の間の利用者負担の不均衡が解消されることとなります。

* 医療保険制度の高額療養費制度のような仕組みを創設し、特に低所得の方の負担が過重にならないよう配慮します。

Q 保険料はどのように設定され、負担することになるのですか。

A 《所得に応じた定額保険料》

* 65歳以上の第1号被保険者の保険料の設定に当たっては、所得段階に応じた 定額保険料とすることにより低所得者の方々にとっても過重な負担とならないような仕組みとします。また、市町村における保険財政の安定化という観点か ら、中期的(3年程度)な見通しに基づく設定とし、その徴収は、老齢・退職年金から特別徴収(いわゆる天引き)を行うほか、特別徴収が困難な者については市町村が個別に徴収を行います。

* 第1号被保険者の保険料は国が定めるガイドラインに基づき、市町村が条例で 設定しますが、市町村の負担を軽減するため、市町村の連合組織である国民健康保険団体連合会が、各市町村に対し保険料の基準を提示します。

《第2号被保険者の保険料は医療保険料と一括徴収》

* 40歳から64歳までの第2号被保険者については、それぞれ加入する医療保 険のルールに基づいて、設定します。この保険料は、医療保険者が一般の医療保険料と一括して徴収を行います。

Q 介護保険はいつからスタートするのですか。

A ≪在宅は平成11年度、施設は平成13年度目途≫

* 制度案では、平成11年度(1999年)に在宅に関する給付を先行してスタートし、その後平成13年度(2001年)を目途に施設に関する給付を合わせて実施することを予定しています。

Q 将来の費用負担はどうなるのですか。

* 将来の費用負担は、主に要介護高齢者の増加やサービスの充実、サービスの利 用率の上昇に伴い、増加することは不可避ですが、その見通し(平成7年度価格)は、次のようになります。

平成11年度 (1999)


平成13年度 (2001)


平成17年(2005)  

平成22年度 (2010)

総費用

0.9兆円〜1.1兆円

4.2兆円〜4.4兆円

5.3兆円

6.9兆円

保険料/月

500円〜700円

2400円〜2600円

2800円

3600円

(3年間一定の場合)

(1200円〜1400円)

(1200円〜1400円)

(3000円)

(3400円)

要介護高齢者等の数

270万人

290万人

330万人

390万人

(注)

1. 平成17年度までの介護費用については、在宅サービスの利用が、介護保険制度導入の当初から大きく伸びるケースと緩やかに伸びるケースの2つのケースで試算を行っている。

2. 保険料に関する「3年間一定の場合」とは、中期的(3年)な見直しに基づいて、保険料を3年間固定した場合である。

3. この数字は、全国平均の推計値を示すものであって、個別の市町村や個人の負担を示すものではない。

4. 要介護高齢数等の数は、65歳以上の要介護高齢者数と虚弱高齢者数の合計である。

Q 今後、高齢化が一層進む中、国民にとって過重な負担となるようなことはないのですか。

A 《介護保険の創設に伴い医療保険の負担が減少》

* 介護保険により給付対象とされるサービスは、これまでも老人福祉制度や老人 保健制度で負担し、給付されていたもので、全てが新たな国民負担になるものではありません。実際に、介護保険制度の創設に伴い老人保健制度(医療保 険)から介護保険に移った費用相当分については、別に医療保険の負担が減少することとなります。

《家計の負担の軽減》

* 介護保険が創設されれば、要介護者とその家族の家計の過大な負担が軽減されます。

《現行制度と比べ費用が効率化》

* 介護保険制度の導入に伴い、社会的入院の是正、多様な民間事業者の参入促進により、現行制度に比べ費用の効率化が期待されます。また、制度スタート後も必要に応じ、利用者負担の在り方について適宜見直しを行い、保険料水準が過度に上昇することのないよう配慮することとしています。

【介護保険制度創設に伴う医療保険料の減少】(平成7年度価格)

平成11年度

平成12年度

平成13年度

介護保険料負担額(億円)

4,200〜5,200

5,100〜6,300

18,600〜19.700

医療保険負担減少額(億円)

900

1,400

12,100

     

(注)

1. 平成7年度価格は、医療費の伸びや単価の伸び率で推計した名目値を、単価の伸び率3%で割り引いたものである。

2. 平成13年度については、社会的入院の解消を見込んでいる。

【介護保険における民間活用】

* 規制緩和の推進による多様な民間事業者の参入促進

現行の措置委託制度と異なり、委託を受けることなく、民間事業者が参入できることから、営利法人、さらには住民参加型の非営利組織など多様な事業者が積極的に参入。

* 有料老人ホーム(株式会社等が運営)において提供される介護なども介護保険で評価

* 民間介護保険との連携

公的介護保険の給付内容・給付水準を超えるものは、民間介護保険により対応。

Q 介護保険の運営は、市町村にとって重荷になりませんか。

A 介護保険の保険者は市町村ですが、国、都道府県、医療保険者等が重層的に支え合う構造とし、保険財政の安定化、事務負担の軽減を図ります。

保険財政の安定化のための措置

* 全体費用の8割強は、公費と医療保険者の納付金でカバー(費用が当初見込みより増加した場合でも精算して確実に交付)。したがって、市町村が徴収する 高齢者(第1号被保険者)の保険料は、全体費用の2割弱。そのうち7割程度は年金からの特別徴収(天引き)により効率的に徴収。

* 現役の第2号被保険者の保険料を、全国プールし、それぞれの市町村の介護給付費に応じて交付することとし、高齢化率の高い市町村を支援。

* 高齢者の保険料負担に不合理な格差が生じないよう、国の負担により以下の@ 〜Bについて市町村間の保険財政を調整。

1. 要介護状態になりやすい後期高齢者の加入割合の相違

2. 高齢者の負担能力(所得水準)の相違

3. 災害時の保険料減免等特殊な場合

* 市町村の連合組織である国民健康保険団体連合会(連合会)に、財政安定化基金を設置し、給付の見通しを上回って生じた給付費の増や通常の徴収努力を行ってもなお生じた保険料未納による保険財政の赤字をカバーするための資金を交付。

* 市町村が設定する高齢者の保険料は、中期的(3年間)な見通しに基づき、各市町村に対して連合会が示す基準により設定。これにより、保険料の改定は3年に1度全国一斉に実施。

保険者事務の円滑な実施を確保するための措置

* 国は、使いやすい全国一律の要介護認定基準を作成。

* 市町村は、単独だけでなく、共同して、要介護認定に関する審査判定事務を処理するための審査会の設置が可能。

* 都道府県は、市町村が設置する審査会の共同設置を支援するほか、必要に応じ、市町村の求めに応じて要介護認定に関する事務を受託。

* 連合会は、要介護認定に関する審査判定事務の受託、介護サービス提供機関からの保険給付の請求に関する審査支払事務を実施。

Q 介護に関するサービス基盤の整備をどのように進めていくのですか。

A 《在宅・施設両面にわたり基盤整備を推進》

* 「保険あってサービスなし」といった事態を招かないよう、在宅、施設の両面にわたり、介護に関するサービス基盤を積極的に整備します。

* 特に、在宅サービスについては、ひとり暮らしや高齢者のみ世帯でも、できる限り住み慣れた家庭や地域での生活が継続できるよう、24時間対応も含めたサービス水準を目標として、その基盤整備を進めます。また、手厚い介護を必要とする方については、今後とも施設における介護が大きな役割を果たすことから、その量的な整備や質の向上を計画的に推進します。

【介護に関するサービス基盤の基本的考え方】

介護保険制度案の概要

(参考)介護保険制度案の概要

保険者

* 保険者は市町村。これを国、都道府県、医療保険者、年金保険者が重層的に支え合う。

被保険者

* 第1号被保険者=65歳以上、第2号被保険者=40歳以上64歳以下の医療保険加入者。なお、第2号被保険者については、脳卒中、初老期痴呆等老 化に伴って生じた要介護状態に対して保険給付を実施。

(注)活動年齢期にある若年世代の要介護状態については、現行の障害者福祉施策(平成7年12月に策定された「障害者プラン」等)に基づ いて計画的に対応。

保険給付

* 被保険者が保険給付の対象となる要介護状態等に該当するかどうかの確認(要介護認定等)を行った上で、在宅・施設両面にわたり多様な医療サービス、福祉サービス等を提供。

基盤整備

* サービス基盤の整備を計画的に進めるため、国が策定した基本指針に基づき、市町村、都道府県がそれぞれ市町村介護保険事業計画、都道府県介護保険事業支援計画を策定。

利用者負担

* 保険給付の対象費用の1割。施設においては、食費のうち平均的な家計にお いて負担する部分は利用者の負担。

公費負担

* 高齢者介護に対する公的責任を踏まえ、公費の負担は総給付費の2分の1。 国:都道府県:市町村の負担割合は、2:1:1。

保険料

* 第1号被保険者については、老齢・退職年金からの特別徴収を行うほか、特 別徴収が困難な者については、市町村が個別に徴収を実施。

* 第2号被保険者については、医療保険各法の定めるところに従い医療保険者が徴収の上、一括して納付。これを各市町村に対し、各市町村の給付費に占める割合が全国一律となるように交付。

市町村の支援

* 市町村における保険財政の安定化、保険者事務の円滑な実施を確保するため、国費による財政調整のほか、市町村の連合組織である国民健康保険連合会において、財政支援事業等を実施。

施行

* 介護保険制度の施行に当たっては十分な準備期間を置くこととし、新ゴールドプランの達成状況等を見極めつつ施行日を設定(在宅は平成11年度、施設は平成13年度を目途)。

検討

* 介護保険制度全体について、制度施行後の推移及び状況変化を踏まえて検討を加え、被保険者の範囲、保険料の在り方等について必要な見直しを実施。

[備考]

* 介護保険制度の創設に合わせ、療養型病床群制度の診療所への拡大等を内容とする医療法の改正等関係法律の改正を予定。


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