がんワクチン
がんの治療は外科手術、放射線療法、化学療法の3つが一般的だ。理論上はがんに侵された部位を取り除けば元気になるはずだが、免疫が弱まり再発したり、治療による副作用に苦しむ人もいる。がんによる死亡率は今も高く、新しい治療法が模索されているが、「第4の治療法」と呼べるものは見つかっていない。
日本で研究が進んでいるワクチンの多くが、薬剤にアミノ酸の一種ペプチドを使う「ペプチドワクチン」だ。がん細胞に特有のペプチドを患者に注射し、自身の持っている免疫力を高めてがんの増大を抑えるという仕組みで、東京大学、大阪大学、名古屋大学などでも研究が進められている。
腫瘍の縮小がみられるのは、ごくごく稀
なかでも久留米大は、「日本でも、世界でも例がない」(同大)という珍しい治療法を取り入れている。通常、ワクチンは誰にも同じものを用い、いわば「既製品」であるのに対し、数10種ある薬剤から個々の免疫にあうものを最大4種組み合わせるという「テーラーメイド」方式だ。
久留米大学免疫治療学講座の講師は、
「一人ひとりの体内の免疫機能は異なっています。コストは数10倍かかりますが、臨床実験の結果、テーラーメイドのほうが効果があることがわかっています」と明かす。治療は週に1回、注射を打ち、6週連続で行う。注射を打った後は帰宅できる。かかる費用はおよそ60万円弱にものぼる。保険が効かないので患者には大きな負担だ。
効果については、
「腫瘍の縮小がみられるのは、ごくごく稀で、効果としては認められていません。ただ、免疫反応が増強するのは確実であること、一部の患者については生存期間が延長するといった効果が見受けられます」と説明する。ただ、がんワクチンの利点は副作用が少ないことで、他の治療法を組み合わせた利用が期待されている。