機械式トケイの骨董的価値と機能
機械式時計は男のロマンである。 あのコンパクトなからだで、一日中、コチコチと、イータック、イータックと時を刻む。あるときは、すこしぐらい遅れるかも知れない。しかし、とりあえず一年365日毎日、毎日、時を刻みつづける。世界でアンティークウォッチの主力は、40年代後半から50年代のもの。骨董のイメージからいえば、せいぜい50年前後、新しいといえる。最低条件としては、ほぼ完全に動き、時を刻むという機能が保たれていなければならない。購入したアンティーク・ウオッチは、日常生活で身につけて使っているケースが多い。たんなる、 いわゆるコレクターではなく、実用品として、実際に使用しながらアンティークを愛するファンが増えている。18乃至19世紀時代の機械式時計はたいへんに貴重なもので、当時としては非常に高度な製造技術をもって作られ、運用も丁寧に行われました。そのため、いまでもその当時作られた製品が相当数動態で残っており、サザビーヤクリスチーヌのオークションにも頻繁に登場します。現代の時計はどうかというと、一部の超高級品を除いて量産体制により生産されており、品質も価格とのトレードオフにより価格に応じて設定されるため、むしろアンティークより寿命は短いだろうといわれている。それでも機械式ならばそれなりの出費を覚悟すれば磨耗、損傷した部品を作りなおしてもらうこともできるのですが、電子テンプ式や音叉式、クォーツなどは電池が手にはいらなくなればそれまでですし(AGSやソーラー式などの例外はありますが)、半導体、ことに専用ICが損傷して補修部品がメーカー切れの場合はほぼお手上げになると考えてよいでしょう(将来、壊れたICを分子レベルで修復してしまう技術が実用化される可能性もあることはありますが)。このへんの問題は、電子テンプ式や音叉式をコレクションする場合に既に覚悟しておかなければいけないポイントとなっています(このあたりの製品の多くはまだIC化されてはいないのが救いといえば救いですが)。以上からまとめると、時計の寿命は、機械式の場合は修理の出費さえ厭わなければほぼ半永久的、電子式やクォーツの場合はメーカーの補修部品の在庫状態次第ということができるでしょう。大量生産の現代の時計と違い、 同じものが2つとないのもアンティークの魅力のひとつ。たとえ同じ時計でも、文字盤の日焼け具合などすべてがちがう。十人十色ならぬ十本十色なのがアンティークリストウオッチである。