時計四大精密機構


クロノグラフ機構

 クロノグラフのメカニズムは、単純に言ってしまえばストップウオッチの機能である。ストップウォッチは、時刻ではなく経過時間を測定するための機構です。もしこれを、単機能の時計で行おうとすれば、計測開始時の目盛を覚えておかなければなりません。あるいは、計測開始時刻を自由にかえられるならば、正時に計測を開始するようにすれば比較的楽に経過時間をはかることができるでしょう。しかし、簡単な操作により正時にセットし、カウントを開始できる時計があったとしたらどうでしょう。経過時間を器具を用いて計測する原始的な例の1つに、振子を使った脈拍の測定があります。ホイヘンスがレギュレータを発明するまでは時計による秒単位、分単位の計測は不可能だったので、こうした方法が一般に用いられていました。17世紀後半になるとそのレギュレータの発明により時計の精度は飛躍的に高まりましたが、依然として経過時間を計測するための専用ツールは登場していませんでした。18世紀に入るとジャン・モーゼス・ポウゼが最初のクロノグラフを発明しました。これは、時刻表示用と経過時間計測用のそれぞれ独立した輪列を組み込んだもので、時刻表示とは独立して計測開始、計測中止が可能になりました。1862年になると、スイスのアドルフ・ニコルが`ハートカム'と呼ばれる機構を発明しました。これは、その名の通りハート型をしたカムで、これを採用したストップウォッチは、秒針がどの位置にあっても瞬時に零の位置にリセットすることができるようになりました。クロノグラフを動かすためには、まずクロノグラフとして最も重要な軸となるクロノグラフ車@を回転させなくてはならない。このクロノグラフ車は当たり前だが60秒で1回転する。具体的にどうやってスタートボタンを押してクロノグラフ車まで伝達するかというと、まずスタートボタンを押すとカムAが半回転し、そしてそれに密着しているレバーBが動き、それによってクロノグラフ車とスモールセコンドを動かしている歯車Cが噛み合い、クロノグラフ針が動きだす。そのクロノグラフ車が一回転すると30分計Dを動かしている歯車に伝され、30分計の針が歯車一山分動く。12時間計も同様な仕組みで進んでいく。

 現在クロノグラフを動かすためにカムが使用されているが、昔はピラーウィールを使用していた。しかし、ピラーウィールは、加工が困難なため大量生産に向かないとして、より簡単で単純なカムによって代行された。しかし、現代でこのピラーウィールが使われていないかというとそうではなく、超高級ブランドメカー(フランクミューラーなどの手作りメーカー)やゼニスが作っているムーブメントのエルプリメロには使されている。言うまでもないが、ピラーウィールはカムよりクロノグラフの精度が高くなる。それと、ピラーウィールは使用していないがクロノグラフのムーブメントで有名なメーカーはエタ社のバルジュー7750である。クロノグラフのバリエーションとしてスプリットセコンド・クロノグラフというものもあります。これは、秒針が2本の針より成っているもので、ボタン操作によりその1本だけを停止、また動いている他方のところまで瞬時に追いつかせることができ、各種の競技においてラップタイムを出すことが可能です。今日ひろく見かけるクォーツ・クロノグラフはこれらとはかなり違う方法に基づいており、経過時間を計測するのは内蔵されたマイクロコンピュータで、 1/5秒、1/10秒から1/100秒、デジタル式では1/1000秒単位の時間を正確に測定できるものもあります。ラップタイムも容易に求めることができ、モデルによってはこれを複数記憶することができます。また、秒針の復帰動作も多くはハートカムではなく、モーターの速送りにより実現されています。

(ブライトリング、ゼニス)

クロノグラフといえばこの2つのメーカーをあげる人が多いと思う。なぜならば、ブライトリングの方は昔からクロノグラフを作り続けているメーカーで、ゼニスの方はなんといってもエルプリメロという優秀なクロノグラフムーブメントを生み出したメーカーである。代表製品をあげると、ブライトリングはナビタイマーで、ゼニスはクロノマスターである。

Chronograph

  1 オペレーティング・レバー
  2 ピラーホイール
  3 フライバック・レバー
  4 ミニッツ・ハートカ(クロノグラフホイール?ハートカム)
  5 トランスミッション・ホイール(クロノグラフ・ホイール
  6 インターメディエイト・ホイー(ミニッツレコーディング・ホイール)

 A タキメーター(タキプロダクトメーター)
 B テレメーター
 C パルスメーター
 D スプリットセコンドクロノグラフ
 E ヨットグラフ 


永久カレンダー

 永久カレンダーとは、歯車の組み合わせや歯数によって閏年や大、小の月(31日や30、28日など)を自動的に制御する仕組みをいう。

 日付変更レバー@とつながる歯車が日付歯車Aである。この日付歯車は言うまでもなく31枚である。日付歯車と噛み合っている歯車が年歯車Bである。この年歯車は4年分の情報の歯数(48枚)が切ってある。その歯車と重なっている歯車Cが、月の経過を制御し、それには大小2月(31、30、28日)の情報が組み込まれている。しかしこの歯車の情報は400年に一度起こるグレゴリウス暦の時に誤差調整が必要になる(次は2100年3月1日)。また、この永久カレンダーの仕組みはクロノグラフやムーンフェイズなどの機構と組み合わせたかたちで作られるのが一般的である。

 それと、永久カレンダーは自分で好き勝手にカレンダーを早送りさせたりすると、あまりに機構が精密なため再び元の状態に戻すのが困難になり自分の手には負えなくなる。その時には、時計メーカーの職人に調整してもらうしかない。調整代は馬鹿にならないほど高額らしい。

(IWC)

 IWCというメーカーはいろいろなものを作っている。パイロットウオッチから複雑時計まで幅広く揃えたメーカーである。その中でも10年以上も生産されている永久カレンダーのダ・ヴィンチが傑作とされている。このダ・ヴィンチには10周年の時に10本目の針(スピリットセコンド)を加えた特別モデルもある。ダ・ヴィンチは2499年までのカレンダーが搭載されている。


トゥールビヨン

 トゥールビヨン(LeTourbillon)とはフランス語で”渦巻き”という意味である。このトゥールビヨンという機構は時計の姿勢差や重力誤差を極力小さくするために生まれた機構である。機械式時計の内部に高速で作動する部分があるため、ある向きで置かれると進み、違う向きで置かれると遅れる、という現象が起きてしまいます。一般的な機械式時計では、姿勢の変化による遅れ進みを加味して、一般的な使い方をされた場合にもっともよく合うように調整するしかありません。そしてこの機構を生み出したのはあの有名なアブラアン・ルイ・ブレゲ(Abraham Louis Breguer, 1747 - 1823)で、なんと彼は万有引力が発見される前から重力によって時計の精度が落ちることを知っていた。

 トゥールビヨンの核となる部分をキャリッジといい、このキャリッジは3本のスポークとゼンマイのエネルギーによって伝えられた回転運動をテンプ(ex.心臓)の往復運動に変換するガンギ車とアンクル(脱進機、ex.弁)とヒゲゼンマイ(ex.動脈)から成っている。キャリッジには調速機のテンプが挟まれており、ガンギ車が回転することによってキャリッジが回転をする。キャリッジは60秒に1回転し、よってそこには秒針がつく。客観的な構造を簡単に述べたが、この構造でどうして時計の姿勢誤差や重力誤差を最小化できるかというと、キャリッジを回転させることによってヒゲゼンマイ(テンプの中央に取り付けられているスプリングみたいなもの)が姿勢・重力によってイビツになる(振動に微妙なズレが生じる)のを調整しているからである。単純に説明すると、あるポジションでのズレの規模が+10で、又あるポジションでのズレの規模が−10であった場合、うまくズレを±0にするには前者のポジションにしておいただけ後者のポジションにしておけばよいことになる。トゥールビヨンはこのことをキャリッジを回転させることで行なっているのである。

 トゥールビヨンの機構はあまりの複雑さのため生産に手間がかかりその分値段も高い。してその値段はというとすべて700万円以上である。トゥールビヨンで一番有名なメーカーはジラールペルゴ、ブランパン、そしてブレゲである。どのブランドも超高級ブランドである。

(ジラールペルゴ)

ジラールペルゴはだいたい毎年トゥールビヨンを題材とした時計を出していて、なんとトゥールビヨンを3つも搭載したモデルまで出している。又、今年はトゥールビヨンとクロノグラフを合体させた本格的な時計が出た。前年には3つのトゥールビヨンに加えミニッツリピータまでも搭載したモデルを出していた。


ミニッツリピータ

 ミニッツリピータはそもそも暗闇の中でも時刻が分かるように済んだ鐘の音で時を知らせるように作られたメカニズムである。その機能は17世紀後半、暗いところで時刻を知るためのメカニズムとして誕生しました。今日では電灯も普及し、時計本体に電球やLED、ELパネルなどによる照明を組み込む ことも容易ですが、当時は音を利用するのがもっとも現実的な解決策でした。ミニッツリピータというとアラーム機構(ジャガー・ル・クルトが有名)と混合する人がいるが、これとは全く異なる機構である。具体的に何処が違うかと言うと、アラーム機構が目覚し時計のようにある時間に音がなるようにするものであるのに対し、このミニッツリピータ機構は時刻を知りたい時にセットするとその時刻を音の鳴る種類や数によって知らせるものである。つまりミニッツリピータは実際に時計を見ずとも音によって時刻が分かるように作られた機構なのである。

 ミニッツリピータには音を鳴らすためのハンマーが大小1つずつ付いていて、ムーブメントのまわりにはゴングがついてある。大きい方のハンマーが時間をあらわす音を出し、小さい方のハンマーが分をあらわすを出し、大小両方のハンマーを同時に鳴らすと15分ごとのクオーターをあらわす。例えば、時刻が1時33分ならチン(大ハンマーの鈍い音)と1回鳴り1時をあらわし、次にチャン・チン、チャン・チン(大小複合)と2回鳴り30分をあらわし、次にチャン・チャン・チャン(小ハンマーの高い音)と3回鳴って3分をあらわす。同系統の機能として、クォーターまでを知らせる`クォーターリピーター'、`時'のみを知らせる`アワーリピーター'などもあります。ミニッツリピータで有名なメーカーは、ブレゲ、バセロン・コンスタンチン、ブランパンという超高級メーカーである。我が国のCITIZENからはマイコン制御によりその機能を摸した製品が発売されています。時計はとてもデリケートな機械です。そして純電子式のデジタル時計を除く多くの時計は数多くの可動部分をもち、その可動性が精度と密接に関係しています。もしそれらのパーツが磁化するようなことがあれば、相互に吸引力や反発力を生じて大きな狂いを発生させてしまいます。よって、時計はダイナミックスピーカーなどの磁石を利用した製品のそばには置かないことが重要なのですが、近代的な暮らしの中において磁場を完全に排除するのは実際にはかなり困難です。そこで、多少の磁場では磁化されないような機構をもつ時計が作られるようになりました。これが耐磁時計です。耐磁のアプローチは主として2つ。一つはパーツに極力非磁性体を使う方法で、もう一つは磁気シールドを用意する方法です。前者のアプローチは多くの耐磁時計に採用されています。磁気シールドには軟鉄板が用いられるので、重くなるのが難点です。暗いところで時を知るという目的は、時計に照明機能を内蔵させたり、さらには合成音声で時を知らせるような機能へと発展していきました。

(ブランパン)

 ブランパンは時計の6大傑作機構を作った。その6大傑作機構とは永久カレンダー、ウルトラスリム、トゥールビヨン、ムーンフェイズ、スピリットセコンド、そしてミニッツリピータである。ミニッツリピータは一見シンプルな三針タイプやクロノグラフに見えるが 、ケースの左にスライドするレバーがあったらミニッツリピータである。ミニッツリピータは外見はシンプルだが、ムーブメントがあまりの複雑さのため私達一般市民では想像もつかない高額な値段がつけられている。おおよそ1000万以上で、私では欲しくても買えない。


グランドコンプリケーション

 グランドコンプリケーションとは、複雑時計の意味で、永久カレンダーやミニッツリピータ、そしてスプリットセコンドなどの機構の内2つくらいが1つのムーブメントに搭載されているものをいう。

 今の時計業界でグランドコンプリケーションを作るメーカーは非常に数が少ない。その数少ないメーカーのブランパン社が今年発表した1735はすごい。この1735はスプリットセコンドに永久カレンダトゥールビヨン、さらにミニッツリピータまで搭載されている究極の時計である。

パテック・フィリップ

 パテック・フィリップは複雑時計を作るのがとても得意である。しかし一 方でシンプルな時計も数多く出している。パテック・フィリップは超高 時計にもかかわらず、ベーシックから新しい機構のモデルにも手を出している優れたメーカーだ。



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