潅漑事業(クメール王朝)


アンコール王朝はなぜ滅びていったか。

 アンコールの王は水の支配者ナーガを通じて人民を支配していた。潅漑事業によって水をコントロールすることにより、初めて民を支配していたのだ。西バライの巨大な貯水池は、その権力の偉大さを如実に物語っている。縦横に張りめぐらされた水路といい、土木工事の水準は立派すぎるほどレベルの高いものであった。

 権力を得た王は、その権力を誇示するためにも、さらに大きな宮殿、寺院の建設に精を出していった。相次ぐ巨大建設事業に、経済は疲弊すると共に、大量の土砂岩石の採取、河川の竣工に及び、河は縁を削り取られ直線化していった。直線化した河川は流れも早くなり、川底の土砂は流出し、結果として川底は沈下、流域の水位は低下していった。

 水位の低下に伴って、これまで巧く行っていた水の取り込みが巧くゆかなくなって、潅漑事業が失敗するに及ぶようになる。王の権力は、水の支配によったもので、潅漑事業の失敗が、しいては財政の疲弊に繋がっていって、最後にアユタヤ王朝(タイ)によって滅ぼされるに至った。

カンボジア紀行



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