黄龍(セルツオ)
川主寺(アムド・アバ)は九賽溝・黄龍・成都(松潘)の三交差点にあたり、川主寺(松潘)から黄龍への登りは、約 52 Kmしかないが、標高 3840mの峠をバスで超えていくことになる。峠からの雪宝頂山(5588m)の景色は最高だった(進行方向に向かって右側の座席の方が見易い)のだが、夜の8時過ぎの通過その片鱗すら見えず、帰路はガスが捲いて全く見えず残念。ここら辺りが高山病との戦いの戦陣を切り開くことになる。気分を落ちつけゆっくりと大きな深い呼吸をしておればどういうことなかった。念のためアシックスの酸素ボンベを購入していったが、現地調達も可能だった。九寨溝と黄龍は約150Km。
中国の秘境はどこもかしこもホテルラッシュでもはや秘境と呼べるモノは何処にも見いだせないのではないだろうか。茂県しかり九賽溝もまたしかり川主寺もホテルの新築ラッシュだった。町全体がホテルとみやげ物店という感じがした。いったいチベット族の少数民族は何処え消えてしまったのか。道路が良くなってくると観光客が押し寄せ、こんな秘境の山中にも飛行場の建設計画が推し進められている。まことに訪れるには好都合だが、これに伴って自然も失われていっては適わない。やはりこうした自然は手つかずで保存したいものだ。
石灰岩に浸食された小さな湖沼は蛇のように這う一種独特な形態を示し、トルコのバムッカレと全く同じ生成過程であった。大小様々な湖沼は3400を数え、段々畑のように次から次ぎえと永遠に続くようだ。黄龍の龍の背中を思わせる堤は、文字の示す如く龍の黄色い背中(バムッカレは真っ白い堤)を示していた。トルコのバムッカレは西に向かった開かれた山肌にみられ、ことのほか石灰岩と龍の堤の小さな池とその色彩が夕日に映えるとき不思議な色彩様相を呈していた。ここは森の中の深い谷間、落陽とのハーモニイというわけにはいかなかったが、緑の森を対称的に映すコバルトブルーの湖面は静寂そのもの、汚れを知らない乙女の清純さと霧に包まれた幻想的な一種独特な観を呈していた。(黄龍の名前の由来については外にもいろいろの説があるようだ)
大変苦しい登り道、黄龍古寺裏の五彩池は何とも艶やかな華やかさで迎えてくれた。石灰水の小さな岩堤はまさしく黄龍の曲がりくねる背中であった。その澄んだ色調は表現するに適当な言葉が見出しえない。でも深刻な状態ではない。童話的コスミックをも感じさせるようだ。とにかく明るい。でも感覚的には京都大文字(460m)に登るようなもので、距離が3.5Kmと少し長いのでこちらの方が楽(勾配が緩い)かも知れまい。いかにも急峻と言った坂道は見当たらない。靴も運動靴が最適でジョギングシューズ等の重いものは不要である。ほとんど、尾瀬と同様、木板の階段と坂道であった。雨の時は滑らないよう用心したい。でも何分3000m以上の高所大変息切れがする。
寺までの道のりは階段で約一万段(高度差450m)以上あるとのことだったが(アバ旅行社郭さん談)実際はそんなになかった。、ハアハア、ハアハア辛かったがここまで来て良かったとつくづく思う。上高地の岳沢、横尾谷、明神池や梓川も美しかったが、ここもまたひと味違う趣だ。シーンと静まり返った自然の営みの中に、神の造りたもうた造営の神秘に打ちひしがれた。五彩池の明るいコバルトブルーの湖沼を見るだけで、疲れはいっぺんに吹き飛ばされた。
最初に
「迎賓彩池」(標高3199m)がある。
「飛瀑流輝」(標高3233m)
「蓮台飛瀑」(標高3267m)この辺りから登りがきつくなってくる。
「洗身洞」(標高3281m)
「盆景池」(標高3307m)
「明鏡倒映池」
「姿夢映彩池」(標高3391m)
「争艶彩池」(標高3400m)下り道
「接仙橋」
「黄龍(黄龍古寺)寺」までは、あと922m
「玉翠彩池」
「映月彩池」
「黄龍寺(雪山寺)」(標高3430m)山門の額が面白い。正面から見ると「黄龍古寺」、右から見ると「飛閣流舟」、左からは「山空水碧」と見る角度によって異なる文字が見える。実際上記を確認した。
「石塔鎮海彩池」
「五彩池」 黄龍古寺の裏側、ここまで約2〜3時間、下りは約1時間半。
「展望台」 3650m
僕は駕篭屋さんを利用したので下りに観光しながら降りた。駕篭屋さんは300元で大変リーズナブルだったと思う。駕篭屋さんは往復とも下山用道しか利用しないようだ。酸素は現地購入可能で、酸素バッグよりボンベ缶のほうが運びやすく利用しやすいようだ。
【1992】 (登録理由)黄龍は、世界的に特異なカルスト地形、美しい景観をはじめ、多くの固有種や絶滅の恐れのある動植物の生物相を有するとともに、温帯に属しているにもかかわらず、高原から高山帯に及ぶ植生の典型的垂直分布が見られるなど、特異な生態系と世界でも稀な自然景観を有している地域であるため。(8/25/01)
一般に云って中国の四川には黄龍と言う地名が至る所に見受けられるようだ。伝説の帝王兎が、東海に住む黄龍の助けを借りて治水に成功した故事に因んでいる。しかしここは、やはり海子の土手が黄色な石灰石に被われて蛇行している様がいかにも龍の背中に見えるようだ。
【高山病】 酸素は現地調達可能。ボンベ式とバック式がある。いづれも50元ぐらいであるが、バック式は50元の補償金が別に必要。空のバックを返却すれば50元戻してくれる。我々はガイドより購入(ボンベ)したので使用しないときは返品できた。携帯にもボンベ式の方が清潔で便利のようだ。バック式は空気枕のようなもので運ぶに不便だ。外観的にもアシックスで発売されているものと同じだった。