九賽溝・黄龍を訪ねて
【チベット文化圏】
普通一般にチベットと表現した場合、中華人民共和国チベット自治区を指し示すが、その文化圏となるとインド・ネパール・ブータンに及び中国(ンガリ・ウツアン・カム・アムド)の一部を含め広範囲なものとなるようだ。チベット高原は北方にタクマラカン砂漠が位置しシルクロードが通り、南はご存知ヒマラヤ山塊・雲南に通じる。西はパキスタンで西方の香りがエキゾチックだ。チベット高原の東部に位置する四川省のアムド(アバ)地方は大平原と遊牧民をイメージするがチベット高原が急激に下がっていく平地(四川盆地)との境目は、急峻な谷とその流(岷江)れが豊富な森林と多くの湖沼(海子)とが相まって奇異な風景を醸し出している。中国文明の発祥は黄河であり、その黄河はこのアムドより発している。また岷江はやがて長江(揚子江)に注いでいる。(3本の大河)
【蜀道難】
唐の詩人李白(蜀・四川省成都出身)は「蜀道難」と言う詩を書いている。昔から蜀道は青天に上るよりも難しと云われている。九賽溝は岷山山脈系に属し、高い高い連なる峰は天にとどいて、その絶壁は急峻を極めサルも登れず、木の桟道はあっても越えられるのは空飛ぶ鳥だけである。蜀(四川)へ来なすったお客さん、なんのために来なすったのか。と李白はいぶかっているようだ。大きなお世話さんと云いたいところだが、黄山・武稜源で味をしめた、中国中で一番美しいと云われる、中国の大規模な自然遺産はどんなところか味わいたく参上した次第。中国人でも訪れる人は少なく(最近ではおすなおすなの盛況)、ただただ中国中で一番風景の奇麗な所といわれ、みんなが良く知っているようだ。溝(谷)を走る水は、深く切り刻みながら谷間を真っ白い水煙を上げながらなだれ込んで行く。水色のグラデュエイションをしめす小さな湖沼(海子)は静止状態にあり山や尾根筋を対称的に湖面に映し揺らぎもしない。静寂そのものである。まこと「鳥は水を泳ぎ、魚は空を飛ぶ」と表現されるのも頷けるようだ。辺りにはミニア・コンガ(7590m)、四姑娘山(6250m)、雪宝頂(5588m)等5〜7千メートル級の山々がごろごろしている。
【九寨溝】
四川省の省都、成都は以前チベットを訪れたとき訪問していたので今回は2度目であった。九寨溝はアムド(アバ・チベット族(羌族)自治州)に属し成都より北西に約450km 世界遺産に指定された秘境中の秘境と言われているが何分バスの移動だけで約12時間大変疲れた。途中3000メートルを超す峠を幾つか越さねばならない。車中高山病で苦しむ人も見られた。日本人観光客は殆ど見られなかったが、国内の観光客が大勢つめかけており、秘境とは全く異なった様相を示しており、ありきたりの観光地に過ぎなかった。でも、深い谷(溝)は全く自然のそのまま、人工的手はつけられておらず水の不思議な色調とともに深い感銘を与える。九賽溝は9つの要塞の谷(一説には9つのチベット族の村)という意味あいらしく、世にも不思議な自然の水の美しさを新たに印象づけられた。長い間の念願叶い、中国で一番美しいところと言われる九賽溝にやってきた。
もともと、ここらの急峻な溝(谷)は太古の昔は氷河で埋め尽くされ、氷河の緩慢な流れが岩肌を剃り刻んでいったようだ。鋭いエッジの斬れ技はこうした氷河のなせる技で、氷河の解氷と共に生成された谷はあたかも北欧のフィヨルド(長池)を思い浮かばせる。
九寨溝の湖は女神が天上の世界から落とした鏡が108つに砕け散って出来たと伝えられる。神の描いた造形の美と自然の営力の強烈さに酔いしびれ、これでもかこれでもかと次々と押し寄せ襲ってくる。.幽谷の魔鏡、114の湖沼(海子)、無数(17)の瀑布が見られると云うが、その水の色合いが全く不思議だ。いったい水の色は何色あるのだろうか。単に色だけではない。水色からコバルトブルー、竹色からエメラルドグリーンのグラデュエイションが何とも表現しがたいようだ。もちろん、水量あるいは、その時々の天候によっても変わるだろう。透明感も大切だ。石灰を含んだ水は何処までも爽やか濁りが全くない。川の小魚(岩魚)が群れている。(備注:あるMLで教えていただいた。正式名称、この魚は「嘉陵裸裂尻魚」と言うそうだ。九寨溝の固有種だそうで、もちろん釣ることも食べることも出来ません。それどころか、当然ながら餌をやってもいけません。太古の昔から九寨溝の湖沼に棲む唯一の魚類です。プランクトンの居ない九寨溝で、湖底の石灰分を漉し取ってそれを栄養源に生きていますから、人間が不用意に餌をやれば、栄養過剰で死ぬそうだ。アホな観光客がパン屑を投げ入れて面白がっていましたが、監視員に見つかったら罰金ものだそうです。)
ここ九寨溝は大胆な分け方をすれば、2つの支流と本流に分ける(Y字型)ことができるが、谷の長さ全長で60Km、広さ740平方Kmにおよび区域内は低公害車(噴煙をもうもうとまき散らしながら走行していた)のバスのみ運行されている。ほとんどバスで移動、歩くとこはなかった。
則査窪溝(左支流)
長海 3120m
スイス(カナダ)の風景を思い浮かばせる長池、分岐点諾日朗からバスで約40分を要する。 少しの階段で湖畔まで降りてゆける。水位が大分低いようだ。写真撮影用の白い山羊や貸民族衣装が用意されていた。
五彩池
道より50m(189段)下方にある。階段は3本あり、真ん中が一番急峻だった。行きはよいが帰りはバス道までこの階段を登らねばならない。要注意。
上季節海
下季節海
日則溝(右支流)
原始森林 道路の工事中で行けなかった。
芳草海
箭竹海
バスはここまで(工事中のため)、約120分で孔雀河道(橋)に至る(バス利用)。
熊猫海
約60分のハイキングで五花海であるが貸し切りバスを利用。
五花海
瀑布があり岩魚が一杯、必見の場所でもある。湖沼の中の流木が奇麗であった。水の色の変化かが感動的だった。
孔雀河道(橋)
金鈴海
珍珠灘
珍珠灘瀑布 2400m
珍珠灘から遊歩道で40分を要する(バス移動)。岩肌の浅瀬を跳ねる水は真珠のように奇麗だった。
鏡海
付近の山を映す景色がきれいだった。
諾日朗
ただ一つのレストラン(不味い)分岐点、トイレは最高(構内全て無料)。
諾日朗瀑布
320mに及ぶ幅の奇麗な滝であったがイグアス、コロンビアの大滝を見た後ではスケールがことなる。奇麗だったことは確か。
樹正溝(本流)
犀牛海
約150〜180分のハイキングで盆景海まで下がる(バス利用)。
老虎海
樹正瀑布 森の中の奇麗な滝、スイスの風景を偲ばせる。
樹正群海
双龍海
臥龍池(火花海)
天女伝説。チベット族の水車を利用したマニ車小屋もお賽銭の徴収所だった。
芦葦海
双龍海まで湖畔を散策(約40分)。
荷叶盆景海
我々は貸し切りバスを利用した(フロントガラスにStuff Onlyと表示されていた)。バスは九寨溝ホテルまで迎えに来てくれたので、そのままバスの乗り換えはなかった。普通一般の構内は専用バスが自由に適時運転されており乗降車自由だあった。でも満員で停車しない場合もあるようだ。初めに上まで上がり順次下ってくる方が便利のようだが。一般バス(低公害車)利用ではこの時期乗車バトルはなっかたようだが、此の山道をあるくことはあまりお勧めではない。低公害車と云っても排気ガスをもうもうと噴射して走っており、あまり道路は歩くとこではないようだ。歩くとすれば川沿いの道を歩くべきで、これでは何日かかるか判らない。ホントの良さを知るには、やり1週間ぐらいかけて散策すべきなのかも知れない。矢張りここはもうすでに秘境でもなんでもなかった。帰りの入口(バスターミナル)は広いので迷子にならないように。
九寨溝の観光には貸し切りバスでも1日(午前7時より午後5時まで)を十分に要した。構内専用のバスの利用では1日ではきついかも知れない。我々はツアーだったので計画通りつれていってくれたが、構内バスを利用するときは、良く順序を計画し、良く調査してかからねばなるまい。行き当たりばったりは問題外。貸し切りバスは2600元(ホテル送迎は+チップ)。チョットのことで貸し切りホテル送迎つきが便利のようだ。
【1992】 (登録理由)九寨溝は世界的特異な生態環境、美しい景観をはじめ、多くの固有種や絶滅の恐れのある動植物の生物相を有するとともに、温帯に属しているにもかかわらず、高原から高山帯に及ぶ植生の典型的垂直分布が見られるなど、特異な生態系と世界でも稀な自然景観を有している地域であるため。(8/25/
01)