





扉温泉グルメの旅
扉温泉
名古屋で同窓会があり、足を伸ばして松本の評判の扉温泉「明神館」に行ってきた。同窓会は名古屋駅のマリオットホテルで開かれた。幹事は名古屋在住の女性三人組みの一人、堀尾さん(高校の同級生)でご主人の一年先輩の名大教授だった御主人についてこの地にやってきて住みついたらしい。このホテルのフレンチは美味いことで有名だそうだが、今回の料理はもう一つだった。東京の三国清三さん率いる「オテル・ドウ・ミクニ」の味とサービスが楽しめると言うことだったが、口が肥えてきたのか、何にも変わった料理も出なかったし、味付けも今一だった(料理長・柳井崇さん)。でも同窓会は盛大で3月ごろの出席希望者から病気等の理由で16名の大量欠席者が出たのは年齢のせいか残念なことだった(56名出席)。長い間、1人も欠けたことのない同窓会ではあったが昨年死んだ岡君(元第一外科教授・第一日赤病院長)を入れて10名の鬼籍者を出しているのは残念なことだった。来年は坂上君の幹事で京都での再会を約束して散会となった。数年後に卒後50周年記念同窓会まで元気で過ごしたいものだ。
昔、上高地の奇麗な明神池の畔の「明神館」にお世話になったことがある。同名の旅館名だが、同じ系列ではなさそうだ。松本から約30分ほど離れて、丁度美ヶ原高原の近くのようでもあった。八つ岳山系「鉢伏山」の山麓に位置するらしい。小さな日本式旅館である。なかなか落ち着いた静寂なところであった。自然の借景とともに、早秋の赤紅葉には少し早いでもないが、付近には散策できる道も整備されており立派な温泉地であった。松本より旅館の車で迎えに来ていただいたが、運転手さんの落ち着いた且つ安全確認の態度に女将さんの教育を感じられ大変好感をもった。何事も最初の印象が肝心なのだ。
旅館は「日本の旅館」と標榜するだけあって、落ち着いた色調に、談話室・ロビー・オルゴール風BGMも完備され、大変気持ちがよかった。次郎は有馬温泉(兵庫県)の大好きな旅館である「御所の坊」を思い出していた。ロビーや談話室ではいつも自由にコーヒ・紅茶・各種お茶類が提供されており、あまり商業的でなく感じた。気持ちが良い。「御所の坊」も同様家族的接待で有名だ。
施設の中に四つの浴場(露天風呂・寝床の湯・立ち湯・大浴場)がある。次郎さんは四つとも試みた。温泉事体はそれほど濃厚と言うわけではなく、軽い気分だったが、疲れを癒すにはもってこいだった。部屋に呼んでもらったマッサージもとっても具合良かった。久しぶりに快眠を催した。
ロビーに置かれていた大壷が気になる。大きな大きな焼締めの壷で女将さんに聞いたところ、約10年ほど前に、多治見の陶芸家から改築の祝いに貰った美濃焼きだという。しかし詳細は判らないという。次郎は粘りのある陶土、石櫨も沢山見られ、なんにもまして姿・形が立派だ。越前や備前とも違うようだ。勿論信楽とも違う。恐らく常滑だろうと思った。大きな花が入れられていたが、全くその雰囲気が良かった。
食いしん坊の次郎には料理がまた良かった。地の松茸は今年の初物だったし、はじめから最後まですべて美味しかった。全部完食。素晴らしい、わざわざ京都まで食べに行かずとも、信州の田舎でこんな美味しい料理を頂けるなんて思いもかけなかった。魯山人風、乾山写し、黄瀬戸等各種配慮された食器類も気に入った。心憎い配慮が嬉しい。
料理は全て美味かったが、特に落ち鮎の孕み(焼肴)は格別だった。何ぼ田舎でもこんな大きさの孕み鮎を取り揃えるのは至難の業ではないだろうか。材料の調達だけでも苦労されているような気がする。
素材重視の自然派料理が売り物で旬の野菜の味、日本の季節感を味わって貰う趣向がここの料理哲学かな。
「懐石 扉の秋」
食前酒 りんご酒
秋 采 焼浸し
松茸木の子とんぶり
卯の花和え
鱚 白木茸 山海月 木茸
トロ湯葉
生麩 黒胡麻あん
椀 盛 土瓶蒸し
才巻 鱧 銀杏 松茸
三つ葉 酢立
替り向 信州サーモン秋香和え
伊富洗い
鯉酢味噌掛け
強 肴 小山牛和風焼
松本一本葱 ジャが芋
焼百合根 壬生菜
小菜盛 蓮芋鞍掛け 丸十甘煮 塩銀杏
ぶどう豆 揚げ栗 石川芋
合鴨 揚松葉
焼 肴 落ち鮎焼浸し
長芋 蓼葉
炊合せ 揚加茂茄子
二種 海老味噌
鰻頭蕪
蟹 占地茸
粒そば 絹さや
留 肴 霙和え
いくら 胡瓜 長芋
そばの芽 木の芽
香の物 六点盛
食 事 松茸御飯
止 椀 豆腐 三つ葉
水菓子 柿 梨 ぶどう
アイス セルフィーユ
扉温泉 明神館 懐石
料理長 岡 雅也
(H20年10月 メニュー)
料理は毎月変更になるらしい。これと言った材料が使われてる訳でもないのに、味付けも最高、まったく素晴らしかった。なにも京都で懐石料理を味はなくてもここ松本の田舎で12分に堪能できた。新しい地の野菜を主に提供されるが、この野菜類はこれまた素晴らしく美味しかった。上記のメニューには懐石料理(一汁三菜)と茗打っていたが、これは会席料理のことだろう。H20年10月19日